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エンジン無しで時速300キロオーバー!? ロータスが本気で作った「石けん箱」のレースとは

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循

英国ではロータス、フォード、マクラーレンがしのぎを削った

 ヨーロッパでも「Gravity Racers(重力レーサー)」とも呼ばれる無動力の「ボックスカー・レース」は盛況。たとえばイギリスのヒストリックカー・イベントとして世界的にも有名な「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」でも、アストンマーティンやフェラーリといったそうそうたるヒストリック・レーシングカーのレースの合間に、ボックスカーによるレースも用意されていた。

 そのレース用にロータスが開発したのが、この119シリーズだ。2002年に119がデビュー、2003年には119B、2004年には119Cと進化を続けたロータスの119シリーズは、グッドウッドで開催されるボックスカー・レースとしては最後となる2004年、ローラやフォードといった強豪を下し、それまでのレコード・ホルダーだったマクラーレンの記録も上まわるタイムで優勝を果たしている。

2003年のロータス119B

設計理論上は最高速320km/hも可能?

 極限まで路面の抵抗を減らしたタイヤ&ホイールを備えた超軽量カーボン・ボディ、可動タングステンバラスト、超低摩擦ベアリングなど、動力源を持たないということ以外はロータスのレーシングカーとまったく同じ本気度で開発されたロータス119シリーズ。設計理論上は、45度の斜面で200mph(約320km/h)の速度に達するという。

「重力」という無尽蔵のエネルギーで脅威のスピードを可能にしたロータス119は、やはり鬼才アンソニー・コーリン・ブルース・チャップマンの遺伝子を現代に伝える革新的「レーシング・マシーン」だったのだ。

2004年のロータス119C

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  • おもちゃのような「ソープボックス」でも本気でレースするのが欧米流
  • 往年のF1マシン、ロータス25と比べても極端に小さい
  • 2002年のロータス119
  • 2003年のロータス119B
  • 2004年のロータス119C
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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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