サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

ノーマルエンジンのままで愛車を速くする方法とは? クロスミッション化のメリットと注意点

シフト操作イメージ

パワーバンドを有効活用できる「クロスミッション」

 サーキットでのタイムアップに劇的な効果があるチューニング。多くの人が想像するのはエンジンのパワーアップだと思うが、じつはそれと同じかもっと効果テキメンなメニューが存在する。答えはトランスミッションのカスタム、分かりやすくいえばギヤ比の変更だ。

 純正トランスミッションは街乗りや燃費を重視したギヤ比で、スポーツ走行とは相性が合わないケースがある。サーキットを走って「このコーナーは2速だと吹け切るし、3速は回転が落ちて遅い」なんて経験をした人もいるだろう。

 ギヤが合わない部分を解消しパワーバンドを使いやすくするのが、モータースポーツでは昔から定番といえるクロスミッションだ。各ギヤ比の差が小さくなるためシフトアップ時の落ち込みが大きく減り、コースによってはエンジンのフルチューンよりタイムに影響する。

アフターパーツ投入や純正ギヤの流用も有効

 では実際にどのような方法でチューニングするのだろうか。ひとつはアフターパーツのメーカーが販売する、クロスミッションをそのまま組み込む方法。サーキット用やジムカーナ用など対象とするステージが明確なうえ、ギヤ比も緻密に計算されているはずなのでビギナーも安心して購入できる。ただしひとつのサーキットに特化したギヤ比だったり、街乗りを完全に無視した製品もあるので注意が必要だ。

 もうひとつは他車の純正ギヤを使ってクロス化する方法。車種にもよるが同じメーカーで流用できるギヤは意外に多く、それらを自分のホームコースや競技に合わせて組み合わせる。

 純正パーツなので価格は比較的リーズナブルだが、自分でギヤを選ぶには相当なノウハウが必要で、初心者にはハードルが高いと言わざるを得ない。失敗しないためにも自分が乗っているクルマを得意としていたり、サーキットや競技に強いプロショップに依頼するのが正解だろう。

 作業はトランスミッションの脱着が必須で必然的に工賃も高くなりがちであり、いざ走って「ノーマルのほうがよかった」なんてのはシャレにならない。ちなみに1~5または6速までをすべてクロス化すると、高速道路をクルージングするのが厳しくなったり、サーキットによってはストレートで吹け切ることも。的確なギヤ比ならタイムアップに大きく貢献するが、選択をミスすると安くないお金を使ってタイムが下がる、という目も当てられない結果になることもあるので、忘れずに覚えておきたい。

レース仕様のようなガチアイテムも存在する

 最後にチューニングやモータースポーツで耳にする機会が多い、ドグミッションとシーケンシャルミッションについて手短に説明しよう。ドグミッションとは純正とそもそもの構造が異なり、シンクロメッシュと呼ばれる各ギヤの回転数を合わせ、スムースに変速させる部品が存在しないミッションだ。

 エンジンとトランスミッションの回転数を乗り手が合わせられれば、クラッチを切らなくてもギヤチェンジすることが可能となり、素早い操作でタイムアップに貢献しつつ強度の面でも有利。ハイパワーなチューニングカーやタイムアタックに特化した車両には向いている反面、ドライバーの技術が求められる上に変速のショックが大きいため街乗りでは扱いにくい。

 シーケンシャルミッションは一般的なトランスミッションの『Hパターン』に対し、シフトレバーを上下に動かすことで変速する構造で『Iパターン』とも呼ばれる。メリットは3速から4速にアップするはずが力んで2速にダウンしてしまうような、エンジンにダメージを与えるシフトミスを起こす確率がほぼゼロになること。ただし1段ずつしかギヤを変えることができず、街乗りには不向きといっていい。

※写真はすべてイメージです

モバイルバージョンを終了