広くないスペースを最大限に活かすシートアレンジが可能
見た目の愛らしさと同様に、インテリアには「洒落たセンス」「遊び心」を演出する室内空間を確保。なかでもシートが秀逸で、乗り心地、ホールド性、乗降性などを人間工学に基づいて設計された。シート高を適切に設定したほか、運転席の前後可動範囲を広くとり、さらに高い着座視点を確保したことで小柄な女性から長身の男性まで、ドライバーを選ばない運転しやすいパッケージを実現させていた。
またフロントとリヤシートはフルリクライニング機構が備わり、RV車に相応しい車中泊も可能であった。もちろん5:5分割可倒式の採用で多彩なシートアレンジができ、後席不要時にはシートを前方にクッションごと畳むことで広々とした荷室を作ることができた。
5ドア仕様やソフトトップモデル、EVもラインアップ!
当初、3ドアモデルのみだった初代RAV4は、1995年にホイールベースを延長して居住性と使い勝手を向上させた5ドアモデルを追加。さらに1996年にはマイナーチェンジが行われ、同じ2Lでありながらより高回転型の3S-GEエンジン搭載(最高出力180ps/6600rpm、最大トルク20.5kg-m/6000rpm)のタイプGもラインアップ。
そのほか、ソフトトップ車やEVなども登場するなど、ただのファッションSUVではないトヨタの本気が見て取れたモデルでもあった。ただ、残念だったのは3ドアがまるでチョロQのようなスタイリングが完成されていたがゆえに、後発の5ドアのそれは、ホイールベースの延長やドア枚数が増えたことで切り貼りした感が拭えなかった。
四半世紀前にタイムスリップしたつもりで初代RAV4を振り返ると、可愛いルックスはもちろんコンパクトな車体やドライバーを笑顔にさせてくれる走りの良さは、いまでも記憶の片隅に残っている。MTを駆使してオモチャのように扱える楽しさは、ライトクロカン(SUV)でありながらスポーツカーを走らせているようで、初代RAV4=キムタクのイメージを拭い去ることはできないが、大ヒットの裏にはオーナーたちを喜ばせる愛らしいスタイリングと、決して高性能ではないけれど楽しい走りを体感させてくれるオモチャ感があったからにほかならない。