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世界で初めてCVTを採用したクルマはスバル「ジャスティ」だった! バブル期の「火の玉ボーイ」とは

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

CVTを世界で初めて実用化したジャスティ

 ところでジャスティというと真っ先に取り上げるべきは、CVTを世界で初めて実用化し、搭載したことだろう。電子制御電磁クラッチ式無段変速機……スバルECVT(Electro-Continuously Variable Transmission)の呼称がつけられたこのCVTは、スバルと当時のオランダ、ヴァン・ドールネ社の共同開発(ヴァ社の特許を使用)したもの。0.2mm厚の鋼板を10枚重ねたスチールベルトに2mm厚のスチールのコマおよそ280枚を組み合わせ、これと油圧で溝幅を無段階に変える一対のプーリー、さらに電磁クラッチを備えた構造だ。

 つねにエンジン出力を有効に使うことで加速性能、燃費にもいいとされての採用で、ユニットの供給体制が整ってから当時の他のスバル車にも展開されたのはご承知のとおり。なおジャスティのECVT車が正式に登場したのは1987年2月、ECVTそのものの発表は、ジャスティ登場の1カ月前、1984年1月だった。

 それとジャスティはスバル車らしく、FFだけでなく4WDも当初から設定された。4WDは今のようなフルタイムではなく、シフトノブの赤い4WDボタンで切り替える方式だった。スバル・ジャスティのカタログ

 またサスペンションにもこだわりがあり、“リッターセダン唯一。ストラットタイプの4輪独立懸架”とカタログでも謳われた、前後ストラット式を採用。フロントスタビライザー、強化ショックアブソーバーも採用された。

 インテリアは、サテライトスイッチを採用したインパネを中心に、シンプルで機能的な仕上がり。マルチファンクションも謳われ、カタログ写真にはポケバイ+ヘルメット(よく見るとポルシェデザイン!)、ゴールドのモデル違いのゼロハリ(ゼロ・ハリバートン)、スポーツギヤなど、アクティブに使いこなしましょう! といった訴求が成されていたこともわかる。スバル・ジャスティのカタログ

 なおジャスティは、初代モデルが1994年まで日本市場で展開されるも、その後は日本市場には投入されなかった。ただし欧州市場には投入され続け、2代目(1994年、スズキ・カルタス)、3代目(2003年、スズキ・初代スイフト)、4代目(2007年、ダイハツ・ブーン)とOEMで展開。その後2016年には5代目としてダイハツ・トールのOEM車が登場し、このモデルで22年ぶりにジャスティの名を日本市場でも復活させた。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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