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27年間所有した維持費は976万円! BMW2002オーナーが激白する維持費のリアル

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: 高桑秀典

パーツの調達は純正にこだわらなければかなり容易

「ウォーターポンプは5万kmぐらいもちますが、心配な方は購入時に交換しておくほうがいいかと思います。交換した記録がないのですが、一度交換した記憶があります。私が買ったのは、そこそこ程度のいい個体でしたが、人様からキレイだねぇ~と言われたく、それなりの走行性能を保つために多くのパーツを交換することになりました。5年以上乗るとなると一度はエンジン、ミッションのO/Hをしないと本来のマルニの軽快感は出ないかもしれません」BMW2002

「年間の走行距離が1000kmにも満たない年も多く、ブレーキ系の消耗はかなり抑えられています。28年間で3万km程度しか走行していないので、年間の経費は40万円弱に抑えられていますが、普段乗りをすると年間の経費はおそらくもうちょっと多くかかると思います。それでもプラス10万円はしないと思いますが」

「マルニは世界的に人気のある車種なので、パーツの調達は純正にこだわらなければかなり容易です。購入時は10年落ちだったので、このときはディーラーにて走行に必要なパーツやボディ関係のパーツがほぼ手に入りました。ただ、当時から純正部品は非常に高く、ディーラーサービスの窓口で『部品代がすごく高いのですが、大丈夫ですか?』みたいなことを言われた覚えがありますね。ハザードのスイッチも2万円とか3万円とかしたような記憶があります。結局、買わずじまいというか、買えませんでした」

「そして、1995年に1974年式のシングルキャブ仕様を入手。当時世田谷にあったマルニ専門店に車検や修理に出していましたが、とくに困ることはなかった気がします。ただし、生産終了から20年が経っていたので、純正パーツの在庫が徐々に無くなってきていました。社外品がないわけではないのですが、純正品の在庫があるうちは、数量、種類とも少なく、やや入手困難なパーツもありました」BMW2002

「例えば、ヘッドライトの反射板です。どの個体も経年変化で10年もすると反射板の表面がくすんで用をなさなくなります。純正、社外品とも在庫切れ状態が何年も続いていて、結局、入手できるまでに5年ほどの時間がかかりました。その間、2度の車検は台所で使うアルミホイルを貼って光量を確保し、車検を通していました。この10年ほどはインターネットが発達し、品質の高いOEMパーツも容易に個人で入手できるようになり、パーツ調達に困ることはあまりありません。ただ粗悪な社外品もあるので、気をつけなければいけません。やたら安いのはやはり要注意です」

モール関係は品質の高いモノが安価で手に入るが……

「マルニ特有のボディを取り巻くモールは、アールや長さが合わなかったりすることがあるそうです。価格的には、かつてディーラーではボディ1周分をアッセンブリーでしか売らず、しかも12万円以上という値段でした。しかし、いまでは高品質な社外品のバラ売りもありますし、アッセンブリーでも6万円程度で手に入ります。安く品質の高いものが出回ってきたせいか、逆に純正品は生産中止になるものが増えているようです。とはいえ、パーツ持ち込み不可の工場も多く、結構高いパーツ代を請求するところもあるので要注意です」

「BMW 2002は、さすがドイツ車で、しかも本来は大衆車なので構造も簡単です。耐久性の高いパーツを使用しているので、ほぼ国産車感覚で乗れてきたと思います。ただし、やはり50年も昔のクルマですので、若いメカニックにとってはまったく勝手が違うモノということで、簡単な修理でもできない……という事態が発生しています。ヘッドライトのスイッチ交換もダッシュボードのアンダーカバーの外し方も分からないと、2時間程度で終わる作業が丸2日という感じです。数個のネジで固定してあるだけなのですけどね。その分の工賃はこちらに請求できないということで、その後は修理を受けてもらえなくなりました」

「いままで愛車を任せていた工場もメカニックの高齢化で、作業ができなくなってきています。アルファロメオやミニと違って、マルニは専門店が全国的にもほとんどない車種なので、ここ2~3年は修理や車検をやってくれるファクトリーを探すのに苦労しています。マルニ仲間とも、『あの工場のオヤジさんが亡くなったら、どうしよう……』という話をしています」

「私はここ10年ほどはディーラーのベテランメカにお願いしていましたが、ついに昨年、定年退職後の再雇用の期間も終了。いろいろとやってくれそうなところを探しました。マルニ仲間の多くはかつて調布にあったショップ(いまは八王子にある)に修理や車検をお願いしています。しかし、そのショップのオヤジさんも後期高齢者。結局、頼りにしていたディーラーのメカニックに連絡し、個人的にバイト感覚でお願いしています。とはいえ、クルマもオーナーもメカニックも高齢車かつ高齢者なので、老々介護問題にぶつかっています」

「製造から50年も経ったクルマにとって、やはり湿気は大敵です。雨の日はもちろん乗りません。出先で降られたときも帰宅後に洗車して、極力、水気を拭き取ります。本来ボディを保護するためのモールですが、モールとボディの間に水分が残り、そこから錆が広がっている個体をよく見かけます。洗車も水はかけず、たっぷり水を含ませた雑巾で汚れを拭き取る感じです。ワックスは固形を使用。晴れた日には直射日光を避け、陰干しもします。暖気運転は3分程度必ず行いますね。10月から5月の暑くならない時期は、片道150km位を目処に何度か遠乗りさせています。このまま大きなトラブルもなく、マルニは還暦を、小生は後期高齢を迎えられればいいなと思う日々です」

 ドイツ製ということもあり、筆者が愛用しているイタリア製の旧車(1974年式のアルファロメオ GT1600ジュニア)よりも丈夫で、維持費も少なくて済むBMW 02シリーズは、クラシックカービギナーも安心して購入できる逸材だといえるだろう。

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  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 本業はフリーランスのライター兼エディター。1998年に買ったアルファ ロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を現在も愛用しており、すでに総走行距離が30万8000kmオーバーとなっている(2022年4月中旬現在)。クラシックカーラリーに水色号で参戦取材することがライフワーク(?)となっており、群馬をホームタウンとして開催されている「スプレンドーレ」では、柴犬を“ワン・コドライバー”、秋田犬を総監督として挑んでいる。全国各地に水色号でお邪魔しているので、これからも走行距離が順調に伸びる予定。
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