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「車高調」はメーカーによって何が違う? 間違いのない7ブランドの特徴をプロが解説

車高調もメーカーごとに得意分野がある

スタイルと乗り心地と走りを好みに変えられる「車高調整式サスペンション」

 車高調はチューニングの中心的存在であり、メーカー各社の特性や特徴が現れやすい。そこでブランドごとにどんな特徴があるのかをぶった斬り紹介! 乗り心地がよく、サーキットも走れるなんて当たり前。そのうえで乗り味の特徴をまとめてみよう。

TEIN:質実剛健な専門メーカー、迷ったらFLEXを買えばOK

 WRCドライバーの藤本吉郎選手と、そのコドライバーだった市野 諮選手が立ち上げたブランドが「TEIN(テイン)」。サスペンション専門メーカーとして足まわりパーツだけをリリースしている。

 商品は大きく分けると入門向けの「FLEX」シリーズと、上級モデルの「MONO」シリーズに分かれる。

 FLEXシリーズは複筒式構造でしなやかさと10万円代前半という低価格が魅力。乗り心地は純正同等かそれ以上にしなやかで、ミニサーキットなら十分にスポーツできる性能を持つ。車高を下げたくて、スポーツ走行をしてみたい人にオススメ。

 MONOシリーズは「MONOスポーツ」や「MONOレーシング」などをラインアップ。こちらは本格スポーツ向けで構造も単筒式を採用。「スーパーレーシング」では伸縮別減衰力調整を備える競技対応モデルもある。こちらは本格的な性能と、オーバーホールや仕様変更も可能で、普段乗りからサーキットまで長く付き合える。サーキットでタイムを求めるならこちら。

 テイン製品でいずれのシリーズにも共通しているのはタフさ。こだわりの粉体塗装と特殊加工でサビに強い。とくに降雪地域の融雪剤による腐食に強く、もっとも固着しにくいとも言われる。また、室内から減衰力調整が電動でできる「EDFC ACTIVE PRO」もラインアップして人気を集めている。

HKS:自社設計自社製造、HIPERMAX Sで幅広く使える

「HKS(エッチ・ケー・エス)」は日本が世界に誇るチューニングパーツのリーディングカンパニー。エンジンパーツやマフラーなど、パワー系チューンで知られるがサスペンションも注力して自社開発している。

 おもなラインアップは「HIPERMAX S」と「HIPERMAX R」。どちらも単筒式車高調で、ストリート&ワインディングがS、ワインディングから本格サーキット走行がRという棲み分けだ。

 しかし、Sでも十分にサーキット走行は可能。どちらかというと、全体的にスポーティな味付けなので、Sでもミニサーキットから本格レーシングコースまで存分に楽しめる。とりあえず車高調を入れたいというならSがマッチする。

 Rは本格サーキット走行向け。バネレートも高めながら、街乗りにも対応できる懐の深さがある。とはいえ、基本的にはサーキットでベストな味付けだ。それもハイスピードなサーキットにマッチする仕様なので、タイムを求める人にオススメ。

CUSCO:減衰力伸縮別調整のリーズナブルなTN_Sに注目!

「CUSCO(クスコ)」は群馬県に本拠を置くメーカー。長くラリー競技に参戦しているが、スーパーGT300クラスやスーパー耐久にも参戦するレーシングチームでもある。

 サスペンションは入門向けからサーキット向け、ダートやラリー用まで幅広くラインアップしている。そのなかでも注目は「TN_S」と「TN_R」。これまで減衰力伸縮別調整だと別タンク式にするのが一般的で、構造上そうせざるを得なかった。

 しかし、TN_SとTN_Rでは通常の減衰力調整のつまみの部分を2段にすることでどちらの減衰力も調整できるように進化。それでいて価格は25万8000円~とリーズナブルなのだ。伸縮別調整としては異次元の価格を実現している。

 ラリー競技で培われたクスコのパーツはそのタフさも筋金入り。降雪地域でのサビにくさにも定評があり、寒冷地での支持率も高い。

BLITZ:幅広いラインアップとしなやかさで街乗りに圧倒的支持率

 総合パーツメーカー「BLITZ(ブリッツ)」では、幅広いラインアップでサスペンションも展開。ベースグレードの「ZZ-R」は単筒式構造を採用する。しなやかさが売りで、乗り心地も良好だ。10万円台で適度に車高を下げて、街乗りからミニサーキットまでを幅広く楽しみたいなら総合点はかなり高い。

 オーバーホールは不可だか、ダンパー自体を交換する方式なので、もしオイルが漏れたり、減衰力が弱ってきたときにもショップで待っている間に交換可能。1本1万5000円という価格も魅力的だ。

 室内から減衰力調整できる機構も販売されているので、ミニバンなど減衰力調整がしにくい車種からも高い支持を得ている。価格と性能のバランスに優れており、車高調最初の1本に選ぶ人が多い人気モデルだ。

OHLINS:さすがの質感が感じられるのがオーリンズ

「OHLINS(オーリンズ)」は海外製の高級サスペンションメーカー。数々のレーシングカーやバイクの世界選手権などで長年使われている。

 単筒式構造にハイクオリティなスプリング、高精度な内部パーツを備え、どの車種でも言えるのはしなやかな乗り心地と、きっちりとしたスポーツ性能があるということ。価格はそれなりにするが、それだけのオールマイティな性能が備わっている。

 国内ではサービスセンターの「ラボ・カロッツェリア」にてオーバーホールや仕様変更を受け付けており、サーキットに合わせたアジャストや使い込んだときのリフレッシュも可能。長く使えるので初期投資は掛かるが、トータルでは安く上がるかもしれない。

A’PEXi:仕様変更がショップでできるメリット

 総合パーツメーカーの「A’PEXi(アペックス)」がとくに力を入れているのがサスペンション。オーソドックスであり、タフなシリンダーに高精度な内部パーツを備えた単筒式構造は奇をてらわず、きちんとした性能を発揮できることが魅力。

 そして特徴は、認定店でオーバーホールができること。多くの車高調はメーカーに送ってオーバーホールすることになるが、A’PEXiの場合は認定店で直接オーバーホールできるので、通常数週間かかるオーバーホール作業もその場で終わるメリットがある。また、仕様変更もチューナーが直接行ってくれるので、オーナーが直接細かい要望を伝えやすく、理想の味付けが実現しやすい。特殊な構造や機構はないが、セッティングが合わせ込みやすいのが魅力だ。

 乗り味は剛性感が高く、まさにスポーツサス。決して硬いわけではなく、素材が優れているからこその剛性感が感じられ、あとはいかに育てていくかが魅力のサスでもある。

ENDLESS ZEAL:自社製作でレースも戦える本格性能をもつ

「ENDLESS(エンドレス)」はブレーキパッドやキャリパーで知られるメーカー。長野県でパッドもキャリパーも、そしてサスペンションも自社製造している。

 30年前から自社でレーシングチームを保有し、現在もスーパー耐久シリーズに2台で参戦中。もちろん自社製サスペンションを使用し、日々アップデートを加えている。その開発姿勢こそポイントで、サスペンション自体についても2022年に新シリーズ「FUNCTION-IMA」を発表。新開発のピストンバルブを採用し、さらなる性能を与えているという。

 価格は20万円台前半からで、ハイエンドモデルは40万円近いところまでラインアップ。IMAシリーズは街乗り、スポーツ、サーキットの3種類に分かれ、その上にはオーダーメイドも用意されており、幅広いニーズに応えることができる。

 以上、オススメの車高調整式サスペンションのメーカーを7つ紹介させていただいた。メーカーによってラインナップしている車種が異なっていたりするので、予算と使用目的に合わせて選んでみてはいかがだろうか。

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