ルックス重視で購入すると意外と荷物が積めないSUV
SUVと言えば、アウトドアや荒野を目指すグランドツアラー的キャラクターの持ち主であり、ゆえにホテルライフとは違い、荷物も増えるというものだ。しかし、過去にはボディサイズから想像するよりちょっと狭めのラゲッジルームを持つクルマもあった。これから中古車のSUVを選ぶ際、そのあたりをしっかり把握し、実際に自身の荷物の積載に適しているかを確認してから購入すべきである。
日産ジューク
まずは今はなき日産のジューク。デザイナーズカーと呼べるスタイリッシュさと引き換えに、クーペライクなボディゆえ、ラゲッジルームの広さにはあまり期待できない1台だ。そもそもジュークは全長4135×全幅1765×全高1565mm、ホイールベース2530mmと車幅は広めだが、短いボディの持ち主。
扱いやすさや走りやすさでは文句なしなのだが、やはりラゲッジルームは広くない。具体的には奥行き670mm、実用幅970mm、高さ680mmと、2010年当時のライバルである三菱RVRの同820mm、990mm、820mmに対して勝ち目はない。だが、後席を格納すればフラットな拡大ラゲッジスペースが出現。デザイン性や後席格納時のラゲッジルームの使い勝手に注目して購入すべき中古SUVと言っていい。
トヨタ・イスト
コンパクトSUVのなかには、ボディサイズから想像できないほどラゲッジルームが広い車種がある。その一方で、まったく見た目通りの広さしかないクルマもある。ヴィッツベースの初代トヨタ・イストがまさにそうした1台と言っていいだろう。
コンパクトクロスオーバーモデルのハシリのような1台で、その後、世界のコンパクトクロスオーバーモデルに影響を与えたとされるが、後席使用時のラゲッジスペースは幅1000mmと、幅方向は問題なし。しかし、荷物の積載力にかかわる奥行きは600mmと最小限となる。よほどこのクルマに思い入れがない限り、アウトドアで使用するにはあまりお勧めできない中古車である。
スズキ・ジムニーシエラ
新車で手に入るものの納車待ちが長く、中古車ですぐに乗りたい……と思わせてくれるのが、スズキのジムニー・シエラ(過去のモデル含む)。ジムニーは軽自動車で、シエラは普通車だからラゲッジルームはより広いはずと思うかもしれないが、現行モデルを例に挙げれば、じつはジムニーとシエラのラゲッジルームの寸法は一緒である。
スクエアなフロアの幅は1300mmと余裕があるものの、むしろ積載性の優劣につながる奥行きは200mmでしかない。ワイルドなキャラクター、走破性の高さから、アウトドアに仲間と繰り出し、アウトドアライフやキャンプを楽しむ……という使い方としては、後席使用時の荷物の積載性は厳しいということをお忘れなく。
シエラはジムニー同様に、後席格納前提でアウトドアに繰り出すべき本格クロカンと言える(先代以前のモデルも同様)。後席を格納すれば、ラゲッジルームの奥行きはいきなり1070mmに達する。車中泊にも対応しており、アイテムが揃っているところも付け加えておきたい。
スズキ・クロスビー
新車購入も可能だが、納期や価格を考えると中古車でもいいかな……と思ってしまうのが、スズキ・クロスビーだ。デビュー当時、デカ・ハスラーとも言われたコンパクトクロスオーバーモデルだが、ラゲッジルームはフロアが地上795mm(先代ハスラー685mm)とかなり高く、小柄な人にとっては重い荷物の出し入れに少々難があった。
フロアも後席使用時だと奥行き最大525mm(後席スライド位置による)、幅1080mm、高さ800mmと、高さと幅方向ではライズ&ロッキーよりも余裕があるものの、荷物の積載力に大きくかかわる奥行き不足が難点。もっとも、カップルズカーと考えれば後席格納で奥行きはフロア長で1000mm、後席背後までで1420mmもあり、床下収納もあるからかなり使い勝手のいいラゲッジルームになりうるはずだ。
ミニクラブマン
輸入SUVというか、クロスオーバーモデルでは、ミニクラブマンのラゲッジルームも広くない。テールゲートの観音開きとなるスプリットドアの使い勝手は抜群で、車体後部にスペースがない場所でも荷物の積み下ろしに有利とはいえ、過去の計測では、奥行き530mm、フロア幅910mm、高さ630~800mm。
もちろん、後席を格納すれば奥行きは1550mm程度まで拡大できるから、アウトドアやキャンプでオシャレに使うなら、前席乗車+拡大ラゲッジルームで使うのが正解だ。ちなみにラゲッジルームの容量比較では、同じミニの派生車でもクロスオーバーのほうが広めである。