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日産のミニバンといえば「ハイウェイスター」のルーツとなった「ラルゴ」は大人向けのカッコいいクルマだった

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎七生人/日産自動車

3列シートの多彩なアレンジも自慢

 それともうひとつ、今では考えられないが3代目ラルゴには前後異サイズのタイヤが全車に標準装着されていた。サイズは前=195/70R14 91S、後=215/65R14 94Sというものだったが、こういったスペックも密かにクルマ好きのハートを捉えていたのだろう。

 一方で当時の多人数乗車のクルマらしく、カタログでは見開き3ページを使い、多彩なシートアレンジも紹介されている。なかには「回転横向き」や、運転席も含めた「フルフラット」などのパターンがあるが、よく見ると「※」があり、注意書きには「この状態では走行しないでください」とある。またマルチスライドシートは売りのひとつで、8人乗り仕様(一部のモデルは除く)では、セカンドシート855mm、サードシート667mm(着座状態で385mm)のスライド量の数字が誇らしげに載っていたりもした。

3代目ラルゴのシートアレンジ

純正カスタム仕様「ハイウェイスター」が大人気に

 そしてこのラルゴで忘れられないのが、「ハイウェイスター」の登場だった。当時、全国津々浦々で3代目ラルゴは中高年のドライバーから支持されるクルマの位置づけにあったようだが、ハイウェイスターもベース車の人気ぶりのそのまま延長線上にあるクルマとしておおいに注目された。

 登場したのは1995年8月のことだったが、専用のエアロパーツ、ボディストライプなどでドレスアップされたルックスは、以降、他モデルでも展開されながらハイウェイスターの人気が定着されていく、そのキッカケとなったモデルでもある。

 標準装着されたエアロパーツは具体的にはフロントエアスポイラー、サイドシルプロテクター、リヤサイドプロテクター、そしてリヤスポイラーなど。インテリアでは本革巻きステアリングホイールとシフトノブ、木目調べインパネとドアスイッチパネルなどが専用で装着されたアイテムだった。なおラルゴのハイウェイスターは、7人乗りでエンジンはガソリンの2.4Lと2Lのディーゼルターボがあり、2WDと4WDが用意されていた。

 ホワイトとプラチナシルバーMの2トーンボディ色も専用色で、幅広のサイドストライプも鮮やかなハイウェイスターの出で立ちが目に鮮明に焼き付いている……そんな人も少なくないのではないだろうか。

 ハイウェイスターはセレナでも1996年から設定があったほか、セレナでは「キタキツネ」なる、専用グリルガード付き車も用意され、アウトドアの雰囲気を強めた特別仕様車も用意された。画像ギャラリーでご覧いただきたい。

続いて1996年に登場したセレナ・ハイウェイスター

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  • 3代目ラルゴはセミキャブオーバーでエンジンは前席の下に配置
  • 3代目ラルゴのシートアレンジ
  • 1995年に登場した日産ラルゴ・ハイウェイスター
  • 続いて1996年に登場したセレナ・ハイウェイスター
  • 左上:初代バネットラルゴ、右下:2代目バネットラルゴ
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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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