ファミリーに人気のMクラスミニバンが続々登場!
2022年は「ミニバンの年」になる。1月にトヨタ・ノア&ヴォクシー、5月にはホンダ・ステップワゴンがフルモデルチェンジされ、トヨタ・シエンタも近々新型になる。年末から2023年に掛けて、日産セレナもフルモデルチェンジする可能性が高い。
そこでノア&ヴォクシーとステップワゴンを軸に、ミドルサイズミニバンの選び方を考えたい。セレナもモデル末期ながら販売は好調であることから、今回の仲間に加える。
居住性やシートアレンジ性能でセレナSハイブリッドが有利
ミニバンにとってもっとも大切なのは居住性だが、セレナは注意が必要だ。e-POWERではS(スマートシンプル)ハイブリッドと違って駆動用電池の張り出しが大きく、2列目シートに座った乗員の足が1列目の下に収まりにくい。
些細な違いに思えるが、限られた室内に3列のシートを内蔵するミニバンでは、この差が居住性に大きな影響を与える。e-POWERでは2列目に座る乗員の足が1列目の下に収まりにくいから、2列目のスライド位置が後方に寄り、3列目の限られた足元空間を狭めてしまうのだ。
そこで居住性の順位を付けると、1位はe-POWERではないSハイブリッドのセレナだ。身長170cmの大人6名が乗車して、2列目の膝先空間を握りコブシふたつ分に調節すると、3列目の膝先には握りコブシふたつ半の余裕ができる。
2位はステップワゴンだ。3列目の膝先空間は、前述の測り方で、握りコブシふたつ分になる。3列目は座面の奥行寸法が2列目に比べて約70mm短いが、柔軟性はあり、多人数の長距離移動にも適する。
3位はノア&ヴォクシーとセレナe-POWERだ。大人の多人数乗車は可能だが、足元空間はミドルサイズミニバンでは少し狭い。ただしセレナの3列目は、シートのサイズに余裕がある。
シートアレンジの1位は、セレナのSハイブリッドだ。2列目の中央を1列目の間へスライドさせると収納設備として使えて、2/3列目の間を移動しやすくなる。2位はノア&ヴォクシーで、2列目シートのロングスライド機能がステップワゴンよりも使いやすい。
ラゲッジの機能性はノア&ヴォクシー
荷室の機能ではノア&ヴォクシーが1位だ。3列目はレバーを引くと持ち上がり、サイドウインドウ側へ押し付けると自動的にロックでき、片手で格納も可能だ。
2位はステップワゴンで、3列目が床下格納だから、畳んだときには完全に隠されてスッキリした広い荷室になる。床下格納の場合、3列目シートを使っているときには走行音が車内に入りやすいが、現行型はそこも入念に対策した。
走りの良さではステップワゴンに軍配
動力性能はいずれの車種もハイブリッドが優れる。1位はステップワゴンのe:HEVで、加速力に余裕があってノイズも小さい。2位はセレナのe-POWERだ。
走行安定性と操舵感は、ノア&ヴォクシーは車両が軽快に向きを変えて、峠道などでも走りやすい。ステップワゴンは後輪の接地性が高く、峠道では少し曲がりにくいが、高速道路で横風にあおられたときなどは強い。両車は一長一短だ。セレナは操舵感が曖昧で、今では設計の古さを感じる。乗り心地はステップワゴンがもっとも快適だ。2位はノア&ヴォクシー、3位はセレナになる。
多人数乗車はステップワゴン、シートアレンジなど機能性はノアヴォク
安全装備と運転支援機能は、ノア&ヴォクシーが圧倒的に充実している。2位はステップワゴンで3位はセレナだ。
このように見ると、ファミリーで使うなどミニバンの機能を重視するユーザーには、ステップワゴンが適する。馴染みやすい自然な運転感覚、シートアレンジなどの使い勝手、装備の充実度を重視するならノア&ヴォクシーだ。
セレナはこの2車に比べて設計の古さを感じるが、Sハイブリッドの居住性とシートアレンジは今でも優れている。次期セレナでは、e-POWERにもSハイブリッド並の居住性やシートアレンジを与えてほしい。