柔軟性のある特殊な塗料を使用する
新感覚ペイント「ラプターライナー」
キャンプを趣味とするオフロード車乗りから注目を浴びる「チッピング」と呼ばれる塗装。塗装面がザラッとした質感に仕上がることでタフ感を盛り上げるのに効果的と、バンパーやガード類へ部分的に導入するカスタム車両を見かけるようになった。そのひとつがラプターライナーと呼ぶ塗装法だ。
マットペイント、いわゆる艶消し塗装は高級車の塗装で見かけるが、まったく異なるザラザラした塗装について迫ってみた。
純正を遥かに凌ぐ圧倒的な塗膜強度
奈良県で鈑金塗装から車両販売・車検を行うトライズオートによれば、「ラプターライナー」の魅力は、塗膜の圧倒的な強靭さにありき。一般的な自動車のボディ用塗料の硬さが1〜2Hとされるが、高耐久ウレタン材を使用するラプターライナーは6H以上とキズに強いという。
そのため、トラックの荷台(ヘッドライナー)や重機など、「ラフに使う場所にキズがつかないようにする」ことを目的としたもの。しかし、最近はオフロード走行を楽しむユーザーや、キャンプや波乗りを趣味とするアウトドア派にも波及。オーバーフェンダーやガード類など、カスタムとしてラプターライナーを導入する人が増えているそうだ。
さらにラプターライナーは防傷のみならず、防汚や紫外線でも高い耐久性を持つ。耐水性が高いことで湿気を防ぐ効果を持つことから、サビを抑える”コーティング塗料”ということになる。木材や樹脂など施工できる素材も多く、基本的にゴム素材以外には施工可能とのこと。
「豊富なカラーバリエーション」でカスタム効果も高い
撮影したズスキ・クロスビーはアンヴィルグレー。カラーはブラックのほか、基本色を調合して自分好みに仕上げることも可能だ。また、肌の目の質感を3段階で調整できるというのもポイント。施工場所ごとに目の粗さを変えたり、塗り分けたりと、カスタマイズユーザーからのニーズに対応する。
さらに驚きなのはグラデーションに塗装することも可能ということ。圧倒的な塗膜強度はそのままに、オーナーの希望次第で高いビジュアル効果も獲得できるわけだ。
なお、ラプターライナーの正規施工代理店は60店舗以上(2022年5月現在)。見た目は凹凸感のある仕上がりだが、滑りはいいから拭き上げても引っかからず、メンテナンスもラク。ブラシ洗車も可能だ。
塗料はDIY向けに個人でも購入できるが、硬化は気温や厚みによって繊細な見極めが必要だ。正規代理店では軽トラックの荷台なら8万8000円~が目安となり、完全硬化するまで1週間〜10日の預かりで仕上げてくれる。