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「シルビア」よりも速かったトヨタ「スターレット」90年代若者の「アオハル」だった「EP82」はすごかった

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

  • スターレットのターボエンジン

初めてのクルマとして人気を博した

「いつかはクラウン」がトヨタのゴールだとすると、そのはじめの一歩はスターレットが受け持っていた。トヨタ全車のエントリーモデルであると同時に、走り屋の入門者にとっても、コンパクトなサイズで車重も軽く、それでいてパワフル。何より安価だったスターレットは「はじめの一歩」として最適なクルマで、多くの走り屋がスターレットでデビューをはたした。

 EP82は、歴代スターレットの4代目モデルで、初代セルシオ、日産スカイラインGT-R(R32)、ユーノス・ロードスター(NA)、初代スバル・レガシィなどと同じ1989年に登場。

新車価格は124万円と驚異的だった

 この4代目スターレットのトピックは、このモデルから全車DOHC 4バルブのハイメカツインカムIIを採用したこと。もっともスポーティな「GT」には、135psのターボエンジン4E-FTEが与えられた。「GT」の車重は830kgだったので、ゼロヨンは15秒前半! 

 ターボとはいえ、1.6リッターのシビックなどよりも加速性能は優れており、サーキットなどでは、2リッターターボのS13シルビアやR32スカイラインのタイプMよりも早いタイムをマークしたほど。

 そのかわり、フル加速すると軽々とホイールスピンをしていたので、このころのトヨタのスポーツカーでよく見られた、シャシー性能と動力性能が不釣り合いのハイパー車だったのは事実。しかし、このパフォーマンスで新車が124万円だったのは、いま考えても驚異的だ。ちなみに「GT」は、スターレットとしてはじめて4輪ディスクブレーキ化され、ABSがクラス初のオプション設定された。

スターレットのターボエンジン

お買い物グルマのソレイユもホットモデルに変身可能

 もうひとつEP82で特筆できるのは、NAモデルの存在。こちらのエンジンは、NAのDOHC 4バルブの4E-FEで、パワーは100psだったが車重は「GT」よりも120kgも軽い710kg! そしてソレイユの新車価格は61万円だった。

 もともとは買い物車のソレイユだが、タイヤとサスをスポーティなものに交換すれば、1.6リッタークラスどころか、2リッターNAのシルビアなどは軽くカモれた。

 EP82は、「青春のスターレット」がキャッチコピーだったが、若いユーザーをターゲットにしたボーイズレーサーのなかでも、コストパフォーマンスという点では、突出した存在だったのは間違いない。スターレットで走り屋デビューし、AE86にステップアップというのが当時の王道だった。スターレットという優れたエントリーモデルがあったからこそ、走りに目覚め、のめり込んだ人も多かったはずだ。

  • スターレットのターボエンジン
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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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