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日本参入の中国EV「BYD ATTO 3」にさっそく試乗! デザインもクオリティも圧倒的な進化を果たしていた

2023年1月発売予定のBYD ATTO 3

中国の大手EVメーカーが日本の乗用車市場に進出

 世界中の自動車メーカーが、これまでの内燃機関から、EVに代表される新エネルギー車に開発の方向性を変化させている。そんななか、2022年上半期で新エネルギー車の世界販売トップの座に輝いているのが、中国の電気自動車(EV)メーカー「BYD(ビーワイディー/比亜迪)」だ。社名は「BEYOND YOUR DREAM(あなたの夢を超える)」を意味するもので、1995年に深圳でニッケルやニッケル水素二次電池の研究開発を開始したのが原点となっている。現在ではブレード式のリチウムイオン二次電池をはじめ、多くの電子部品を自社生産できるメリットを活かし、シームレスなプロセスで低コストのクルマ作りを可能としているのが特長だ。

2023年から3モデルのEVを順次発売する予定

 今回、日本市場への導入が発表されたBYDのEVは3モデル。最初に販売が開始されるのはe-SUVの「ATTO 3(アットスリー)」で、新車販売のため日本に新たに設立された「BYDオート・ジャパン株式会社」から、2023年1月に発売予定。続いてやはり2023年半ばにはe-コンパクトの「DOLPHIN(ドルフィン)」が、そして最後にCd値0.21という美しいボディをもつe-セダンの「SEAL(シール)」が、日本市場に投入される計画となっている。

 BYDのモデルとしては、すでに日本にもe-バスが複数のサイズで導入されているが、同市場でのシェアはじつに約7割。乗用車の世界には国産、輸入車を含め、すでにある程度のライバルモデルが存在するが、その仕上がりによっては十分に満足できるシェアとともに、ブランドイメージを確立することも可能だろう。

e-SUVのATTO 3にいち早く試乗した

 今回はこれら3モデルの日本導入計画発表に先立って、短時間ではあるが公道上でe-SUVのATTO 3をドライブすることができた。まず印象的なのは、傘下の日本メーカーに金型の製作を依頼したというボディの美しさだ。とくにそれを感じるのはドアサイドの造形で、丸みのあるラインが巧みに織りなす立体感は、視覚的には大いに魅力的だ。リヤクオーターパネルは、龍をも意識したのだろうか、こちらも手の込んだフィニッシュで、それによってフローティングルーフのような軽快感が生まれている。

 インテリアはさらに魅力的なフィニッシュだった。ここ数年、最新のBYD車を見る機会には残念ながら恵まれていなかったが、少し目を離した隙に、デザインもクオリティも圧倒的な進化を果たしていたのだから驚く。インテリアデザインは円をモチーフとしたもので、女性的な可愛らしさを演出したものなのかと思いきや、じつはスポーツジムなどにあるダンベルなどからインスピレーションを得たものなのだとか。e-SUVをチョイスするような行動派のカスタマーならば、きっとスポーツ志向も強いのではないかという期待から、このデザインは生み出された。ちなみに最近のBYDがデザイン性に優れるのは、世界各国から200名以上のデザイナーが本社に集まり、各々がその卓越した手腕を発揮しているためなのだという。

EVとしてもSUVとしてもあらゆる点に死角なし

 ATTO 3のプラットフォームは、ブレード式リチウムイオンバッテリーのパックをも構造体として使用するもので、「e-プラットフォーム3.0」と呼ばれる。搭載量は58.56kWhで、モーター出力は150kWであるから、馬力換算すれば約201psに相当する。全長×全幅×全高が4455×1875×1615mmのボディサイズで、車重が1750kgというこのモデルでは、実際に市街地ベースでドライブしてみても、パワー不足を感じることはなかったし、また回生モードを「ラージ(強め)」に設定しても、ブレーキフィールはとても自然だった。もちろんフル加速を試みれば、発進直後から最大トルクが発揮されるEVのメリットを感じるし、力強い加速感は健在。コーナリング時の安定感も重心の低さから抜群のフィールだ。

 SUVとしての実用性の高さも、e-SUVとはいえきちんと考えられている。後席の背後には十分に実用的なラゲッジルームが備わっているし、後席の居住性も快適だ。短時間の試乗では、残念ながらこのATTO 3に搭載されている様々な機能すべてを試してみることはできなかったが、SUVとしての根本的な出来ばえは、まずは見事なものだったと評価しておきたい。ちなみに日本市場には、最終的には100か所の販売、サービス拠点が整備されることになるという。急速充電方式のCHAdeMO(チャデモ)に対応してきたことも日本のカスタマーには嬉しいところだ。

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