かつての軽自動車とは別物の安全性能を備えている
クルマを購入する際、価格やデザイン、走行性能とともに気になるのが安全性能。その安全性能を重視すれば、メルセデス・ベンツやボルボなどの輸入高級車、国産車でも大型のクルマに限られる……。軽自動車はやはり安全性能で見劣りする……というのは過去の話だ。
最新の軽自動車は、価格的な買いやすさ、スーパーハイト系軽自動車に代表される下克上的室内の広さ、使い勝手の良さとともに、安全性能も飛躍的に高まっているのだ。
クルマの安全性能のひとつの目安となるのが、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が行っている「自動車アセスメント(通称JNCAP)」の評価だ。直近では、スバル・レヴォーグ、スバル・レガシイ アウトバッグ、トヨタ・ハリアー、ホンダ・ヴェゼル、三菱アウトランダー、日産ノート/ノートオーラがベスト6に入っているのだが、なんと7位に日産ルークス/ルークスハイウェイスター、8位に日産デイズ/デイズハイウェイスターがランクイン。軽自動車でも大きい普通車を凌ぐ安全性能が確保されている時代なのである。
151.03点以上を獲得すると最高評価の「ファイブスター賞」を獲得
JNCAPは2020年度から予防安全性能と衝突安全性能、および事故自動緊急通報装置(8点満点/2020年度以降)を総合評価(190点満点)するようになり、より分かりやすい評価になっているのだが、そこで151.03点以上を獲得すると安全性能のお墨付き(!?)とも言えるファイブスター賞(★★★★★)となるのだ。
ホンダN-BOX/N-BOXカスタム、ホンダN-WGN/N-WGNカスタム、そして上記の日産デイズ、ルークスも同様だ。そのほかの軽自動車の多くでも4スター(★★★★)の高い評価を得ている軽自動車が少なくないのである。
安全性能には、衝突安全性能はもちろんだが、安全装備、先進運転支援機能などが評価される予防安全性能評価もある。そこでもホンダN-BOX/N-BOXカスタム、ホンダN-WGN/N-WGNカスタム、日産デイズ/デイズハイウェイスター、日産ルークス/ルークスハイウェイスターが先進型予防安全性能評価で100%の最高評価を得ていたりするのだ。
最新の軽自動車であれば安全ボディの強度や上級車と変わらない
筆者はかつて、現行ホンダN-BOXの衝突実験の場に居合わせたことがある。対象車はホンダN-BOXと、車重比1.5倍のホンダ・インサイト。実験はどちらも50km/h。ラップ率50%(車体前方の半分同士が衝突する感じだ)での衝突。重要なことは、50km/hで走行するクルマ同士が正面から衝突した場合、相対速度は50km/h×2の100km/hに達するということになるという点だ。
では、ホンダN-BOXとホンダ・インサイトをそうした条件で衝突させたらどうなるのか? 衝撃の凄まじさは衝突音の大きさからも理解できるのだが、ホンダ・インサイトのほうは衝突した場所からほとんど動かず、前を向いたまま停止。
一方、車重が軽く小さいN-BOXは一瞬、宙に浮き、回転した後に停止。恐る恐る衝突現場に近寄ってみると、インサイトのほうはボンネット部分片側が損傷していたものの、Aピラー以降はダメージがないように見え、フロントウインドウさえ割れていない。
ここでの主題となるN-BOXの安全性能はどうだったのか。さすがにフロント部分の損傷度合いはインサイトを上まわり、フロントウインドウとAピラーの三角窓部分は割れていたものの、なんと、衝突した側の運転席フロントドアですら無理なく開けることができた(実際に開けさせてもらった)。さらにリヤスライドドアはオープナーを引くだけで、何事もなくスルスルとスムーズに開いたのである。ホンダのコンパティビリティ対応ボディの優秀さを直視した瞬間だったというわけだ。
このように、最新の軽自動車であれば、ボディの強度や上級車と変わらない安全装備、機能によって、かつての軽自動車とは別物の安全性能を備えているほどだ。さらに日産デイズ、ルークス、サクラなどがそうであるように、車載通信機の搭載で、高級車さながらのエアバッグ連動型SOSコールなども用意され、”つながる安心”では下手なコンパクトカーや上級車を上まわるケースさえあるのである。
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予算には限りがある、しかしより安全で安心できるクルマが欲しい……というなら、軽自動車も十分、選択肢、候補に挙げられる時代と言っていい。スバルのアイサイトのデータが示すように、衝突軽減ブレーキの搭載(義務化)によって追突事故は減っているし、踏み間違え抑制機能でついうっかりの衝突事故も防げるはず。だが、どんなクルマであれ、絶対の安全はない。あくまで慎重かつ安全運転を心がけていただきたい。