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日産「スカイラインGT-R」が海外オークションに出品!「R32」と「R33」の落札価格に注目が集まる

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: 2022 Courtesy of RM Sotheby's

【1994年式日産スカイラインGT-R ‘JGTCC-GT1’ by ハセミモータースポーツ】

 最後に紹介するのは、1994年式日産スカイライン GT-R ‘JGTCC-GT1’ by ハセミモータースポーツだ。

 R32型スカイラインGT-Rは、全日本ツーリングカー選手権のほか、N1スーパー耐久での連覇(1990、1991、1992年)、オーストラリア・ツーリングカー選手権での連覇(1991、1992年)、1991年スパ24時間レースでのヨーロッパでの勝利など、4シーズンにわたって無敵を誇った。

 モントレーに出品されるのは、1994年の全日本GT選手権のためにハセミモータースポーツがNISMOと共同で製作した1台で、長谷見昌弘氏のドライブで同シーズンのドライバーズチャンピオンシップ2位を獲得したクルマである。ちなみに、ハセミモータースポーツは、1983~2010年までユニシアジェックスなどがスポンサーを務めるレーシングカーで各種レースに参戦した。

 オレンジと白のカラーリングが印象的なR32型スカイラインGT-Rでは、1991年と1992年の全日本ツーリングカー選手権において2年連続でタイトルを獲得している。現車は1994年の第1回十勝24時間レースで優勝し、R32型スカイラインGT-Rとして唯一、国内24時間耐久レースを制している。

 ハセミモータースポーツは、このR32型スカイラインGT-Rを最終戦の後、徹底的に整備し、チーム事務所にて展示。その後、東京に住んでいる現保管者が1996年にこのクルマを長谷見氏から直接譲り受け、以後、長谷見選手が現役時代に駆った重要なレーシングカーを集めたプライベートミュージアム内で保管していた。

 26年間にわたる所有期間中、このクルマはほとんど一般公開されることなく静態保存されてきた。1994年シーズンのレース仕様から一度も変更されていないため、エンジン、ECU、6速シーケンシャルトランスミッション、ブレーキシステム、ボディワーク、足まわりなど、レースで使用された主要部品がそのまま残っている。ボディには、最終戦のステッカーが貼られたままだ。日産スカイラインGT−R

 この2年間で、フルードフラッシュ、燃料ポンプの交換、消耗品のガスケット、ホース、フィッティングの交換など、最高の状態で走らせることを目指した修復が施されているようだ。このようなレーシングカーを長谷見氏と親しい現保管者から入手できるチャンスは極めて稀である。

 GTレースのトップカテゴリーで活躍した車両は滅多に市場に出てこないため、落札価格の予想がつかないが、1994年当時のレーシングスペックが再現された素晴らしい保存状態なので、最終落札価格には期待が持てそうだ。

* * *

 AMWでは引き続きRMサザビーズのオークション情報を注視したい。それにしても、日本が世界に誇るR32型スカイラインGT-RとR33型スカイラインGT-Rがアメリカでも高い評価を得ていることは嬉しい。一方で、良質車が海を渡ってしまうのは残念だが、今後も世界のカーマニアに日本車の凄さを痛感してもらえればいいな、と思う。

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  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 本業はフリーランスのライター兼エディター。1998年に買ったアルファ ロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を現在も愛用しており、すでに総走行距離が30万8000kmオーバーとなっている(2022年4月中旬現在)。クラシックカーラリーに水色号で参戦取材することがライフワーク(?)となっており、群馬をホームタウンとして開催されている「スプレンドーレ」では、柴犬を“ワン・コドライバー”、秋田犬を総監督として挑んでいる。全国各地に水色号でお邪魔しているので、これからも走行距離が順調に伸びる予定。
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