ホイールのハブボルト数が車種によって異なる理由とは
一般的な乗用車に用いられているホイールはハブボルトの穴が4つや5つの場合が多く、4穴(4H)や5穴(5H)と呼ばれるホイールが装着されている。しかし、200系ハイエースにはボルト穴が多い6穴が採用されている。これは一体何を意味しているのだろうか? そんな疑問を持った読者に、あらためてホイールのボルト穴数とP.C.D.の設定理由について考察していきたい。
耐荷重の大きさに比例してハブボルトの数が増える
タイヤ&ホイールは走行中の車体を支え、路面に駆動力を伝えたり制動力を発生させる重要なパーツだ。そもそも路面に接しているのは4本のタイヤのみなので、車両総重量は4本のタイヤ&ホイールに分散して加わることになる。つまり車両総重量が重いクルマほど、ホイール1本に加わる荷重も高くなるということなのだ。
そこで問題になってくるのが耐荷重の問題。もっとも分かりやすいのがタイヤのロードインデックス(LI値:タイヤ1本が支えられる耐荷重のスペック)だろう。車両が各車軸に加わる荷重を算出したものが軸重だが、この数値を超えるLIをクリアしないとタイヤ性能としては不十分なのだ。安全性という面でも必ず守らなければいけないスペックになっているので、ご存じの読者も多いことだろう。
同様にホイールにもこの耐荷重の問題が関わってくる。ここで登場するのがホイールのボルト穴数(ホール数)だ。先にも紹介した通り、一般的な乗用車では4穴、5穴のモデルが多いが、ハイエースなどでは6穴(先代の100系では5穴モデルも存在した)、さらにトラックやバスでは8穴や10穴、それ以上のボルト穴数を備えている大型トラックやバスもある。
これはとりもなおさず、ホイールを車軸に取り付ける強度を高めるために施されている、耐荷重確保の対策なのだ。つまりハブボルトを増やすことで、ホイールに掛かる加重を複数のボルトに分散して、耐荷重のスペックを上げているのだ。それが証拠に車両総重量が重い車体になるほど、ホイールのボルト穴数は増える傾向にある。軽自動車よりもリッターカー(コンパクトカー)、さらには3ナンバー車、車両総重量の重い貨物車両、沢山の荷物を積載するトラックなどの順にボルト穴数が増えていくのはそんな仕組みがあるのだ。
トラックではISO規格やJIS規格でねじのサイズや締め付けトルクまでが細かく規定され、それに沿ってメンテナンスする必要があるなど、ホイールの取り付けボルトに関する規定は厳しい。これは安全面に直結するからにほかならない。