欧州勢に迫るプレミアムツーリングワゴン!
スバルS402(ツーリングワゴン)
ランエボがあるならインプレッサも……と言いたいところだが、インプレッサWRXスポーツワゴンはどちらかというとハッチバックとツーリングワゴンの中間的なポジションだったため割愛。そこで推したいのが4代目レガシィツーリングワゴンベース(BP型)のS402だ。
このモデルは、STIチューンによってスポーティな乗り味と欧州車にも匹敵する上質な乗り味が追求されており、BE/BL型の3代目レガシィをベースにしたS401は残念ながら4ドアセダンのみだったが、S402にはセダンとツーリングワゴンがともに設定された。
BP9改となるS402(ツーリングワゴン)のパワーユニットは、海外製EJ25型2.5L水平対向ターボエンジンをベースにチューニングが施され、等長等爆エキゾーストにツインスクロールターボを採用。最高出力285ps/最大トルク40.0kg-mを発揮し、フレキシブルタワーバーやロアアームバー、ピロボールリヤサスリンクなどによりシャーシもしっかり強化されていた。
ちなみに5代目レガシィの後継モデルと言える初代レヴォーグ2.0GT/GT-Sには、FA20DIT型水平対向4気筒DOHCターボが搭載され、最高出力300ps/最大トルク40.8kg-mを発揮。その後、専用チューニングのビルシュタイン製ダンパーや内外装に多くの専用パーツが奢られたSTIスポーツもラインアップされた。
スープラを凌ぐラップタイムをニュルで記録!?
トヨタ・カルディナGT-FOUR
トヨタにも忘れてはいけないモデルがある。それが3代目カルディナに設定されたカルディナGT-FOURであり、その心臓部にはセリカGT-FOUR譲りの2L直4ツインカムターボの3S-GTE型(最高出力260ps/最大トルク33.0kg-m)を搭載する。
カルディナにはこれまでにもMT仕様やターボモデルの設定はあったが、このカルディナGT-FOURば別格。ハンドリングを躾けたのは当時のトヨタのトップガン(最強テストドライバー)、故・成瀬 弘さんであり、世界屈指のテストコースとして知られるニュルブルクリンク(ドイツ)の旧コース(ノルドシュライフェ)で、JZA80スープラよりも速かったと噂されるほどの実力を誇った。
その真相は諸説あるようだが、N(ニュルブルクリンク)エディションモデルで、ライバルに対抗して倒立式のKYB製の倒立式フロントダンパーと、モノチューブ式リヤダンパー、そしてレカロシート(AM19)などを装備。ATのワゴンでありながらもハンドリングに優れる激速モデルであった。
羊の皮を被った狼的ステーションワゴン!
初代アウディRS6アバント
最後に日本で正規で購入できた輸入車を1台だけ紹介すると、アウディRS6アバントだろう。この初代モデルは2003年に発売され、4.2L V8ツインターボエンジンは最高出力450ps/最大トルク57.1kg-mを発揮。アウディの高性能モデルを担当するクワトロ社(当時)が製造するスペシャルモデルは、外観こそベースモデルとほとんど変わらずの控えめなデザインであったが、ワイドになったフェンダーが力強さを醸し出していた。
2007年に登場の2代目ではさらに5L V10ツインターボエンジンを搭載し、最高出力580ps/最大トルク66.3kg-mと驚異的な力強さを誇った。一度乗ったら忘れられない強烈なパワーとまるでレールの上を走っているかのようなスタビリティの高さは、この日本では運転免許がいくつあっても足りないほどの速さだった。
3代目では4L V8となったものの最高出力560ps/最大トルク71.4kg-mとトルクがさらに厚くなっており、8速となったATとの組み合わせにより激速ハイパーワゴンの歴史を繋ぐ。さらに現行モデルの4代目は、先代同様の4L V8ツインターボではあるが、マイルドハイブリッドをプラスしており、低回転域からのさらなる分厚いトルクとモーターの力で市街地走行での扱いやすさも追求、燃費性能も両立させた。いずれにせよRS6アバントは、どの世代もベースモデルとはあまり変わらないエクステリアに、フェンダーがちょっと膨らんだだけという、まさに羊の皮を被った狼的なワゴンであった。
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以上、国産、輸入車問わず、激速のスーパーワゴンを6車種紹介した。現在は世界的にもSUVブームが続いており、かつてのスーパーワゴンのようなスーパーSUVが各メーカーからリリースされている。いずれそうした激速SUVをまとめて紹介しよう。