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【反則級ハイパーワゴン6選】「GT-R」の直6や「F1」譲りのV10を搭載したツーリングワゴンとは

BMW M5ツーリングの走り

積載量より速さが命!?  懐かしの激速ステーションワゴンを振り返る

 近年のSUVブームですっかり影の薄い存在となってしまったステーションワゴン。90年代にはさまざまなメーカーから実用的なワゴンが登場し、一大ブームを巻き起こしていたのが懐かしい。当時を知る者としてはいささか寂しい限りだが、そんななかで登場したポテンシャルがハンパない国内外の激っ速ステーションワゴンを振り返りたい。

507psを誇るF1譲りのV10を搭載!!
BMW M5ツーリング(E61型)

 まずは日本では正式発売されていないものの、激速の名に相応しいBMW M5ツーリングだ。近年のBMWではM5にツーリング(ステーションワゴン)を設定していないが、第4世代の5シリーズツーリング(E61型)をベースにした最強のハイパーワゴンの特徴は、なんと言ってもF1譲りのV10エンジンを搭載したこと。

 5L V10自然吸気エンジンは最高出力507ps(始動直後はエンジン保護のために400psに出力ダウン)、最大トルク53.0kg-mを発揮。そのパワー&トルクを後輪の二輪で受け止めるFRの走りは鮮烈だった。トランスミッションは2ペダルMTのSMGIIとMTが用意されていた。外観はBMWが少しずつ強面になり始めた時期のモデルだけに良い意味で個性的だった。

 自然吸気のV10エンジンを積む、MT車のワゴンはかなり希少なモデルだけに、オーナーにとっては一生手放せないクルマになるだろう。ちなみに最新のM5では4WDが採用されるのは、もはやヨンクじゃないとパワーを受け止められないから。つまり、それだけ凶暴なポテンシャルを秘めていたのだ。

R33スカイラインGT-Rのワゴン版か!?
日産ステージア オーテックバージョン260RS

 日本がワゴンブームに沸くなか、日産が送り出した日本が誇るスーパーワゴンがステージア オーテックバージョン260RSだ。オーテックが手掛けたこのスペシャルなワゴンは、C34型ローレルをベースに作られているが、中身はまったくの別物。R33型スカイラインGT-Rに搭載のRB26DETTエンジン(最高出力280ps/最大トルク37.5kg-m)が搭載され、先進の4WDシステム「アテーサE-TS」も採用。5速MTだからスカイラインGT-Rのワゴン版と言うことができ、現在でもGT-Rオーナーのセカンドカーとしても非常に人気が高い。

 ボディはスクエアな形状で、畳一枚がしっかり積める広い荷室と異次元の走りは多くの日産ファンを魅了した。ATが欲しいという方のために、RB25DETエンジン(最高出力280ps/34.0kg-m)を積んだ4WD仕様の25t RS Vもあった。

ハンドリングが秀逸だったランエボの進化形!
三菱ランサーエボリューションワゴンMR

 人気絶頂のなかで発売されたエボワゴンも(三菱ランサーエボリューションワゴン)も忘れてはならない。ベース車両はランエボIXをワゴン化したもので、6速MT搭載のGTと5速AT搭載のGT-Aをラインアップ。6速MTのGTは最高出力280ps/6500rpm、最大トルク40.0kg-m/3000rpmを誇り、GT-AはエボVII GT-Aと同じエンジンを搭載し、最高出力272ps /6500rpm、最大トルク35.0kg-m/3000rpmと、GTに比べて多少抑えめなエンジンスペックとなっていた。ちなみにAT仕様はATオイルクーラーがフロントバンパー左側に備わるために、ナンバープレートがエボVII GT-Aと同じく中央に設置されていた。

 電子デバイスにはセダンとの違いが見られるが、セダンよりも前後重量配分のバランスが良いことから、ハンドリングの評価は高かった。かえってワゴンの方が良いというファンもいたほどで、名機として知られる熟成を重ねた4G63型エンジンを堪能することができた。ネックは高速道路を走行中に目に見えて減っていくのが分かる燃料計が指す針の位置で、今となってはこれもまたランエボの歴史の1ページだ。

欧州勢に迫るプレミアムツーリングワゴン!
スバルS402(ツーリングワゴン)

 ランエボがあるならインプレッサも……と言いたいところだが、インプレッサWRXスポーツワゴンはどちらかというとハッチバックとツーリングワゴンの中間的なポジションだったため割愛。そこで推したいのが4代目レガシィツーリングワゴンベース(BP型)のS402だ。

 このモデルは、STIチューンによってスポーティな乗り味と欧州車にも匹敵する上質な乗り味が追求されており、BE/BL型の3代目レガシィをベースにしたS401は残念ながら4ドアセダンのみだったが、S402にはセダンとツーリングワゴンがともに設定された。

 BP9改となるS402(ツーリングワゴン)のパワーユニットは、海外製EJ25型2.5L水平対向ターボエンジンをベースにチューニングが施され、等長等爆エキゾーストにツインスクロールターボを採用。最高出力285ps/最大トルク40.0kg-mを発揮し、フレキシブルタワーバーやロアアームバー、ピロボールリヤサスリンクなどによりシャーシもしっかり強化されていた。

 ちなみに5代目レガシィの後継モデルと言える初代レヴォーグ2.0GT/GT-Sには、FA20DIT型水平対向4気筒DOHCターボが搭載され、最高出力300ps/最大トルク40.8kg-mを発揮。その後、専用チューニングのビルシュタイン製ダンパーや内外装に多くの専用パーツが奢られたSTIスポーツもラインアップされた。

スープラを凌ぐラップタイムをニュルで記録!?
トヨタ・カルディナGT-FOUR

 トヨタにも忘れてはいけないモデルがある。それが3代目カルディナに設定されたカルディナGT-FOURであり、その心臓部にはセリカGT-FOUR譲りの2L直4ツインカムターボの3S-GTE型(最高出力260ps/最大トルク33.0kg-m)を搭載する。

 カルディナにはこれまでにもMT仕様やターボモデルの設定はあったが、このカルディナGT-FOURば別格。ハンドリングを躾けたのは当時のトヨタのトップガン(最強テストドライバー)、故・成瀬 弘さんであり、世界屈指のテストコースとして知られるニュルブルクリンク(ドイツ)の旧コース(ノルドシュライフェ)で、JZA80スープラよりも速かったと噂されるほどの実力を誇った。

 その真相は諸説あるようだが、N(ニュルブルクリンク)エディションモデルで、ライバルに対抗して倒立式のKYB製の倒立式フロントダンパーと、モノチューブ式リヤダンパー、そしてレカロシート(AM19)などを装備。ATのワゴンでありながらもハンドリングに優れる激速モデルであった。

羊の皮を被った狼的ステーションワゴン!
初代アウディRS6アバント

 最後に日本で正規で購入できた輸入車を1台だけ紹介すると、アウディRS6アバントだろう。この初代モデルは2003年に発売され、4.2L V8ツインターボエンジンは最高出力450ps/最大トルク57.1kg-mを発揮。アウディの高性能モデルを担当するクワトロ社(当時)が製造するスペシャルモデルは、外観こそベースモデルとほとんど変わらずの控えめなデザインであったが、ワイドになったフェンダーが力強さを醸し出していた。

 2007年に登場の2代目ではさらに5L V10ツインターボエンジンを搭載し、最高出力580ps/最大トルク66.3kg-mと驚異的な力強さを誇った。一度乗ったら忘れられない強烈なパワーとまるでレールの上を走っているかのようなスタビリティの高さは、この日本では運転免許がいくつあっても足りないほどの速さだった。

 3代目では4L V8となったものの最高出力560ps/最大トルク71.4kg-mとトルクがさらに厚くなっており、8速となったATとの組み合わせにより激速ハイパーワゴンの歴史を繋ぐ。さらに現行モデルの4代目は、先代同様の4L V8ツインターボではあるが、マイルドハイブリッドをプラスしており、低回転域からのさらなる分厚いトルクとモーターの力で市街地走行での扱いやすさも追求、燃費性能も両立させた。いずれにせよRS6アバントは、どの世代もベースモデルとはあまり変わらないエクステリアに、フェンダーがちょっと膨らんだだけという、まさに羊の皮を被った狼的なワゴンであった。

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 以上、国産、輸入車問わず、激速のスーパーワゴンを6車種紹介した。現在は世界的にもSUVブームが続いており、かつてのスーパーワゴンのようなスーパーSUVが各メーカーからリリースされている。いずれそうした激速SUVをまとめて紹介しよう。

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