防災意識の高まりとともにキャンピングカーに注目が集まる
ここ数年の自然災害は、これまでの想像を上回るようなものばかりだ。そのため、防災に対する意識も高まっている。そうした中で注目されているのが、キャンピングカーの存在である。日頃のアウトドアでの活動や自由気ままな旅行を楽しむ使い方以外にも、災害時の一時避難場所として、キャンピングカーの購入を考え始めるオーナーが増えているという。
きっかけは東日本大震災だった
近年、キャンピングカーは災害シェルターとしての活用方法が注目されている。各ビルダーが作るキャンピングカーの多くが、いざという時の備えについて想定している。
そのきっかけとなったのが、2011年の「東日本大震災」だった。この時「災害時にキャンピングカーができることは何か」を各ビルダーが真剣に考えはじめたようだ。ビルダーの中には、災害支援をするためにキャンピングカーを現地に持ち込み、手助けを行った人も数多くいた。その際、現場を目の当たりにして、災害時に本当に必要な物が何かをあらためて感じたという。
震災後、支援のために現地に行ったあるビルダーに話を伺った。
「あの時には自宅が崩壊してしまった方が数多くいて、避難所に行った方も多かったんです。しかし緊急時とはいえども、小さいお子様がいると周りの目が気になったり、ペットがいると避難所に入れなかったり、プライバシーがほとんどない状態なので、皆さん避難所の中に入らない、入れない人が多くいました。そうした人たちは、校庭などにクルマを並べて車中泊したりしていましたね。熊本地震の時も同様だったそうで、車中泊でエコノミー症候群になったというお話をよく聞きました」
こうした時、キャンピングカーは足を伸ばしてゆったり眠れるだけでなく、プライベート空間も確保できることが大きなメリットになる。
また、災害時には、安否確認や家族と連絡をとりあうために携帯電話のバッテリー確保は必要不可欠だ。避難所では、携帯電話やスマホを充電するための設備が用意されるが、そこには大勢が押しかけ長蛇の列が出来る。キャンピングカーならば、あらかじめゆとりを持たせた電源供給システムを備えているので、こうした状況の時には特に役立つ。
東日本大震災以降のキャンピングカーには、ソーラーパネルの装着が積極的に行われるようになった。その理由は万が一、ガソリンが手に入らないような状況でも、テレビやラジオから情報収集が行えて、照明や冷蔵庫などを使うことが出来るからだ。
ソーラーパネル装着車は独立して発電・蓄電できるため、災害時はきわめて心強い存在となる。さらに今どきのキャンピングカーは、大容量のリチイムイオンバッテリーを使って外部への出力や給電にも対応させたモデルも増えつつある。
コロナ禍で見直されたキャンピングカーの活用法
実際に購入希望でショップを訪れた人に話を聞いてみた。
「子供と一緒にアウトドアに遊びに行くために、キャンピングカーを購入しようと思いました。加えて、非常用としても使えることがキャンピングカー購入の理由にもなってます。ただ、非常用として重視するのではなく、あくまでも自分の趣味とリンクしたモデルを選ぼうと思ってます」
キャンピングカーに限らず、アウトドア装備の一部をそのままクルマに積んでおけば、いざという災害時に役立つことがある。医療用エマージェンシーキットも車載しておけばさらに安心。普段は使わなくても、こうした物がキャンピングカーに積まれているだけでも精神的な安心感が生まれるというものだ。
各ビルダーが作るキャンピンクカーについては、災害に特化したモデルは存在していない。しかし、逆を言えば、野外遊びや旅先での宿として作られたキャンピングカーの装備は、いざという時に柔軟に対応できるものでもあるのだ。最近では、断熱にも力を入れているケースがほとんどで、ヒーターと組み合わせれば冬場の寒さもしのぎやすく、季節を問わずに活躍してくれる。つまり、家族を守るシェルターとして活躍してくれるわけだ。
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現在も続くコロナ渦にあって、家族だけが過ごせる空間が作れることで、キャンピングカーの注目度はますます高まっている。旅行に対する自粛ムードが高まる中、じつはキャンピングカーだけは例外。こういう時代だからこそ、その活用方法の広がりが見直され、話題になっているわけだ。