車高の下げ過ぎは乗り心地の悪化以外のデメリットもある
そもそも過度なローダウンはサスペンションのストローク量が極端に制限されることになるので、バネレートもかなり硬めのものを使うことになる。スタイル重視で大きく車高を落としたいなら、サスペンションのバネレートも標準よりも高くしないと、ストロークし過ぎてタイヤとフェンダーが干渉したり、サスペンションが底付きしてしまったりする。
底付きしたときにはバンプラバーというウレタン製の緩衝材にサスペンションが当たって、これ以上ストロークしないようになっているのだが、バンプラバーにガンガン当たるようでは乗り心地が極端に悪化するだけじゃなく、操縦安定性も悪化するのでタイヤが滑りやすく危険な状態になる。意図的に当てるよう設計してある車高調には、柔らかく長いバンプラバーが装着されているが、意図しないバンプラバーとの底付きとはまったく別物なので注意が必要だ。
ローダウンしたらアライメント調整が必要不可欠
ローダウンする場合、厳密にはアライメントの変化もしっかり把握するべきだ。アライメントはサスペンションが沈み込むときに意図的に変化するようにセッティングされている。スピンしにくいようにトーインやトーアウトとなるように設計されており、ノーマル車高から沈むときの変化を前提に設計されているのだ。車高ダウンしたところから、さらに沈み込むと突然アライメントが大きく変化してしまう車種もある。そういった場合は、その領域までストロークしない車高にするとか、バネレートやバンプラバーでそこまで沈まないようにするなどの対策を取らないと、危険なクルマになってしまう。
「自分は飛ばさないから大丈夫」とアライメントを軽視する人もいるが、ありえない話だが最高速度が30km/h程度ならまだしも、普通に法定速度で走るなら危険はともなう。とくに雨の日は法定速度で走っていても、意図しないアライメント変化が起きたら盛大なスピンやアンダーステアを招いて、事故を起こす可能性も十分にある。そこでしっかりアライメント調整することが大切なのだ。
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車高を落とすにはそういったリスクを回避するための調整が必要になるので、ぜひプロのアドバイスのもとローダウンを実践してもらいたい。