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「オーテック・ザガート」と「トヨタ・クラシック」のベース車両が分かればクルマ通! 変貌を遂げすぎた国産カルトカーとは

ベース車が不明となるほど手が加えられたモデル

 自動車メーカーやメーカー直系のカスタマイズ部門が、時折リリースするコンプリートのカスタマイズカー。これは市販車をベースにメーカーがカスタマイズを施し、完成状態で市販するもので、いわばメーカー謹製のカスタマイズカーということになる。

 そんなメーカー製カスタマイズカーのなかには、内部のチューニングやエアロパーツの装着といった範疇を超えて、一見するとベース車がなにか分からないほど手が加えられたモデルも存在する。

 そこで今回は、そんなベース車が不明となるほど手が加えられたメーカー謹製カスタマイズカーを振り返ってみたい。

オーテック・ザガート・ステルビオ

 今ではステルビオというとアルファ ロメオのSUVの方が知られるようになったが、1990年代のクルマ好きにとってステルビオと言えば、間違いなくこのオーテック・ザガート・ステルビオのことを指していた。

 車名からも分かるように、オーテックジャパンとイタリアのカロッツェリアであるザガート(ともに当時)が共同開発して生まれたモデル。ベースとなったのは2代目の日産レパードだった。

 実際のところ、車検証上に記載される車名は「オーテックザガート」、車両型式は「E-AZ-1」となるため、レパードとは異なる車両という扱いになる。日本から仮組状態のレパードをイタリアに輸出し、ザガートが架装したのちに日本へ送りかえされるという、まさにバブル期ならではのお金のかけ方で生まれた車両だったのだ。

トヨタ VM180ザガート

 前述のステルビオに続き、こちらもザガート社とのコラボで誕生したカスタマイズカーであるが、こちらは日産ではなくトヨタ(正確にはトヨタモデリスタ)が手を組んで生まれたモデルだ。

 3眼式のヘッドライトやテールランプなどは、まるでモーターショーに展示されるコンセプトカーのようだが、これはれっきとした市販モデル。ベースとなったのは1999年に登場したオープン2シーターミッドシップモデルの「MR-S」である。

 ちなみに「VM180」には、ザガートのほか「TRD」も用意されており、こちらは当時のGT300に参戦していた車両を思わせるワイドボディ化がなされていた。

 VM180ザガートは、キャビンこそMR-Sのままだが、Aピラーとウインドウガラス、ドアミラー以外はすべてFRPで新設計されたというボディは、何とも言えない存在感を醸し出していた。

 また、モデリスタのコンプリートカーとしてはほかに「カセルタ」というモデルも存在していた。こちらはイタリアのさまざまなスポーツカーの要素を上手くミックスしたエクステリアとなっており、こちらも外板にはMR-Sの面影はなし。

 こういったMR-Sベースのコンプリートカーが多く生まれたのは、同車がリヤフェンダーもボルト留めとなっていることで、異なるデザインのボディを作りやすいというのも理由のひとつにあるかもしれない。

トヨタ クラシック

 トヨタ初の純国産車「トヨダAA型」の市販から60周年を迎えた1996年に、その記念としてリリースされたのがトヨタ クラシックだ。クラシックという車名の通り、トヨダAA型をモチーフとしたデザインをまとっているが、そのベースとなったのはなんとピックアップトラックのハイラックスのダブルキャブ。

 これは当時のAA型に寸法的に似通っているということと、ボディの換装をしやすいフレーム式を採用していたということで白羽の矢が立ったといわれている。

 パワートレインやインパネなどはハイラックスの面影を残すが、本革シートやウッドステアリングを標準装備とし、タイヤにはホワイトリボンタイヤをチョイスするなどそのこだわりぶりはかなりのもの。

 ただそれだけに価格も高価で、東京地区での希望小売価格は817万円。当初は100台程度の販売を見込んでいると発表されているが、実際にどのくらい販売されたのかは不明だ。

 のちにシングルキャブのハイラックスをベースに、荷台を活かした状態で販売された「TCピックアップ」なるモデルも存在しているが、フロント周りは明らかにクラシックと同じもの。当時のカタログには「アメリカの魂が語り継いできたフォルム」という一文があったが、クラシックオーナーは複雑な気持ちにならなかったのだろうか。

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