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「Gノーズ」を持つ「フェアレディZ」は今も人気絶大!! 見た目だけではない「エアロダイナ・ノーズ」の効果とは?

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

サファリラリーで優勝したブルーバードと関連したメカニズム

 フェアレディZは、1969年のデビュー時にはスカイラインGT-R(いわゆる“ハコスカ”のPGC10型)と同じ、2L直6ツインカムのS20エンジンを搭載するZ432もラインアップされていましたが、そのほかのモデルは2L直6 SOHCのL20を搭載しています。

 一方、240Zは、L20を2.4LにスープアップしたL24を搭載していましたが、これはブルーバードの3代目、サファリ・ラリーで優勝した1600SSS(P510)が搭載していたL16エンジン(1595cc=83.0mmφ×73.7mm。最高出力はSUツインキャブ装着の有鉛ハイオクガソリン仕様で105ps)とボア×ストロークが同じで、言ってみればL16に2気筒分追加したエンジンがL24となります。

 そのために、L16でレースやラリーに向けて開発されたエンジンのパーツが、そのままL24でも使用できることから、240Zのパーツ開発で大いに役立ったようです。ちなみに、日産のL型エンジンに関して言えば、1965年にデビューした2代目セドリックのスペシャル6(H130型)に搭載されたL20型が登場。

 その2年後に3代目ブルーバード(510系)に搭載されて4気筒のL13型とL16型が登場したために、これらはL20型から2気筒分を切り取った、と説明する文献もありました。ですが、1965年に登場したL20型はとくに初期型と呼ばれ、6気筒でもクランクのサポートが4ベアリングと旧式なスペックでした。

 一方1967年に登場した4気筒のL13&L16は4気筒でもクランクのサポートが5ベアリングとスペックがアップデートされています。フェアレディZに搭載されたL20&L24は、このアップデートされたスペックの6気筒ということで、排気量拡大(ボアアップ)に備えてシリンダーピッチも拡げられていました。とくにL20(後期型)はデビューした当初、初期型のL20と区別するためにL20Aと呼ばれていた時期もありました。

 ともかくフェアレディZは最初から後期型のL20を搭載してデビューし、シリンダーピッチの拡大もあって排気量を拡大したL24を搭載する240Zが誕生した恰好でした。

Gノーズ装着で最高速で約5%! 中間加速で約30%アップ

 240Z-Gの最大の特徴であるエアロダイナ・ノーズ、通称“Gノーズ”についてもう少し詳しく解説しておきましょう。見るからに空気抵抗が低減されていたように映りました、とは先に触れたとおりですが、実際にも空力的に進化したデータが残っています。

 それは当時のカタログでも「空気抵抗係数(Cd)=0.390、揚力係数(CL)=0.149。走行性能は最高速で約5%、中間加速で約30%アップ」と謳われていました。事実、エンジン出力は240Z/240Z-Lと同じ150psを発生するL24エンジンを搭載していながら、前者の最高速が205km/hに留まっていたのに対して、240Z-Gでは210km/hを記録。これは160psを発生するS20エンジンを搭載していたZ432と同数値で、空力で10psのアンダーパワーをカバーしたことになります。日産フェアレディ240Z-G

 ちなみに、240Z-Gと240Z/240Z-L、Z432が搭載していた5速のマニュアルトランスミッションは、変速比も共通でしたが、ファイナル(最終減速比)に関しては、240系が3.900だったのに対してZ432は4.444とローギアード化。985kg~1010kgの240系に対して、Z432が1040kgと30kg以上も重かったことへの対策だったと思われます。

 ブルーバード1600SSSに続いて1971年から日産のラリー活動において主戦マシンとなったフェアレディZですが、とくに海外ラリーにおいてはよりハイパワーなZ432ではなく240Zが使用されてきました。それは絶対的なパワーよりも、より野太いトルクが重視された結果の決定でした。

 そして240Z-Gがデビューしたあとも、国際ラリーではエアロダイナ・ノーズ、通称“Gノーズ”を装着していない240Zが使用され続けていました。それは空気抵抗の減少というメリットに対して、ノーズが190mm伸びたことで取り回しが大変になるというデメリットも考えられたからでしょうか。

 もちろん重量増(市販モデルで240Z-Gは240Z-Lに対して+15kg)もマイナス要因だったでしょう。これに対してレースでは、空気抵抗の低減が、より大きなメリットとなってきます。デビュー当初はS20 エンジンを搭載したZ432で国内レースを戦っていた日産ワークスも、1年後には240Z-Gをサーキットに持ち込んでいます。ライバルのロータリー軍団がパフォーマンスを引き上げてくると、240ZRと呼ばれるマシンを投入するまでになりました。

 これはリターンフローでウエッジ型燃焼室を持ったL24のヘッドを、クロスフローで半球型燃焼室を持ったLYヘッドと呼ばれるレースオプションに交換したもので、L28にLYヘッドを組みつけた最終モデルのLY28では2バルブのまま300psを絞り出すまでになっていたようです。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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