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孤高のブランド「クレンツェ」はどうして「VIP」スタイルの王道になれたのか? デザインの変遷から読み解く<PR>

センターキャップの「クレンツェ」のエンブレムは、VIPカスタマーの憧れである

カスタムホイールのパイオニアから生まれた「クレンツェ」

 日本のモータリゼーションが花開いた1960年代末、早くもホイールで個性をアピールする先駆者として登場した「ウェッズ」。初プロダクトとなる「エルスター」は、カスタムホイールのパイオニアとして今なお語り継がれる存在だ。さらに日本初のアルミ鍛造3ピースホイール「レーシングフォージ」を1977年にリリースするなど、常にカスタムホイールのリーディングカンパニーとして走り続けている。今回、こうしたウェッズのパイオニアとしてのDNAに、特に「VIP」と呼ばれる高級セダンのカスタム業界で常に注目を集めていた「クレンツェ」のヒストリーを紐解くことで触れてみよう。ナビゲーターは、最も「クレンツェ」を身近に見てきた『VIPスタイル』だ。

「クレンツェ」と『VIPスタイル』の出会いは2002年、東京オートサロンの会場だった。当時、すでにクレンツェは有名な存在で、VIPオーナーたちに一目を置かれる存在だった。あの日から20年。名を変えず、方向性も変えず、必ず年に1本、新作を出し続けてきた。これがどれほどまでに大変な偉業であるか、分かるだろうか。流行り廃りを一切無視し、唯一無二の孤高の存在としてあり続けるのは、並大抵のことではない。VIPのためのホイールである「クレンツェ」の軌跡を、2002年から秘蔵写真と共に振り返ってみよう。

2002年:CERBERUS II_ケルベロス ツー

ベストセラーの初代をブラッシュアップ

 クレンツェと『VIPスタイル』の本格的な出会いは、このケルベロスIIから。「深い眠りから解き放たれた厳粛な凄み」がキャッチフレーズ。大ブレイクした初代の面影を残しつつ、スポークをより足長に改良したのが特徴だ。最大リム幅178mmも大きな話題になった。2002年の東京オートサロンでデビューしたケルベロスIIは、予想通り、あっという間に主役の座を射止め、当時の有名VIPオーナーたちがこぞって愛車に装着した。

 

2003年:BORPHES_ボルフェス

時代の最先端をいく、次世代メッシュ

 当時、次世代メッシュの筆頭モデルがこのボルフェスであった。ツインスポークを融合したデザインはかなり斬新だった。ちなみにボルフェスとは、ギリシャ神話に登場する地獄の門番・ケルベロスを「琴」で倒す、オフェウスから取っている。今のクレンツェにも受け継がれている3次元アールは、このボルフェスから始まった。センターキャップのデザインは、オフェウスの「琴」をイメージしていた。

2004年:LXZ_エルエックスヅィー

コンケーブデザインの先駆者的存在

 まるで工芸品のような複雑な立体感。2002年、2003年の2作はそこがポイントだった。いい意味で、その期待を裏切ったのがLXZで、過激とも言える逆反り(今でいうコンケーブ)を採用するために、あえて天面をシンプルに仕上げてきた。また、当時のクレンツェの代名詞といえるのがディープリムであった。まさに、それをより強調させるために生み出したのが逆反りディスクで、この後、一躍大ブームになる。

2005年:BAZREIA_バズレイア

クレンツェ史上、最高傑作がバズレイア

 今もなお、根強くファンに愛されているのがバズレイアだ。重厚なディッシュにひねりを加えたデザインは、当時非常にセンセーションを起こした傑作中の傑作だ。ひねりを加えることで軽快感や躍動感を生み出し、ドッシリとしたセダンをスタイリッシュな雰囲気へと誘った。スポーク側面は指で摘んだような形状で、芸術性の高さも人気の要因だった。キャップが新モチーフに変更されたのも、バズレイアからだった。

 2002年から2005年までは、ディッシュタイプやスポークタイプ、さらにスポークタイプでも本数やデザインがまったく異なるデザインの新作をリリースしてきたクレンツェ。こうしたチャレンジングな姿勢は、2006年以降も継続されていったのかを、改めて見てみよう。

2006年:RATZINGER_ラッツィンガー

時代を先取りした、大開口部の5本スポーク

 高級感とスポーティ感を融合したデザイン。社外ブレーキキャリパー&ローターをセットするのが当たり前の時代になった今こそ、開口部の広さがウリのラッツィンガーは人気に火が付きそうな気がする。前作のバズレイアが桁違いの人気だっただけに、少し影に隠れた存在になったのが惜しまれる。ラッツィンガーがデビューしたのは、2006年の東京オートサロン。デモカーは発表されたばかりのレクサスGSにいち早く装着させての出品も話題を呼んだ。

2007年:VISHUNU_ヴィシュヌ

名作ヴィシュヌこそ、現代版クレンツェの礎

 今ではクレンツェの本命色になっているSBCポリッシュ。その初採用モデルがヴィシュヌであった。ブラックコートしたスポークの天面のみを切削。このカッコ良さは発明とも言える一大事だった。また、バズレイア譲りのひねりも導入している。2007年の東京オートサロンでは、出品されたクルマの上にホイールを展示する、超凝ったブースが大きな話題になった。ちなみに、21インチを初採用したのもヴィシュヌからだ。

2008年:GLOSSA_グロッサ

クレンツェで最も冒険的な異色の存在

 流行り廃りを無視した孤高の存在であるクレンツェであるが、それを最も具現化したのがグロッサだろう。業界ではバランスが取りにくいと敬遠されていた7本スポークに挑み、その足に開口部を刻み、その上でひねる。強烈な個性を放っていた。前作のヴィシュヌで初採用したミクロエンブレム。好評だったのを受け、グロッサにも投入。このワンポイントも、カスタマーにとって自慢の存在だった。

2009年:CHRISHNA_クリシュナ

個性を極めた5角形型センターキャップ

 グロッサに負けず劣らず、斬新なデザインを採用。こうした前衛的なデザインが許され、そしてカスタマーに受け入れられるのはクレンツェのみと言っていいだろう。当時のクレンツェとは、そういう唯一無二の存在だった。言うまでもなく、5角形のセンターオーナメントは、今見ても個性的である。センターキャップだけでなく、まるで花びらのような繊細なラインを描くスポークにも驚かされた。そのスポークの細い天面だけをポリッシュし、さらにメリハリ感を演出。こだわりの深さが随所に感じられる作品だった。

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 平成真っ只中の2000年代初頭、クレンツェは令和のいまも通用するデザインのホイールを毎年リリースしていたことがお分かりになっただろうか。これがウェッズのカスタムホイールメーカーとしてのパイオニア精神にほかならない。次は2010年から現在に繋がるクレンツェの軌跡をお届けするので、お楽しみに。

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