世界を席巻したバギー・ブームの元祖「メイヤーズ・マンクス」がEVに
1960年代にカリフォルニアで生まれた小さなバギー「メイヤーズ・マンクス」は砂漠レースで活躍するとともにレジャー・ビークルとして若者たちに大ヒットし、世界中に通称「デューン・バギー」のフォロワーを生み出した。その本家メイヤーズ・マンクス社が、完全EVに生まれ変わった「メイヤーズ・マンクス2.0エレクトリック」を発表。2023年から納車を開始する予定だ。
ビートルを元にしたバギーはVW社もリスペクトするアイコン
自動車史に残るベストセラー、フォルクスワーゲン・ビートル(タイプ1)はシンプルなメカニズムゆえ、多彩なカスタムカーのベース車両としても愛されてきた。カリフォルニアでボート製造に携わっていたブルース・メイヤーズが1964年、ビートルのシャシーにFRP製のボディを組み合わせて発売した「メイヤーズ・マンクス」は、圧倒的な軽さを武器にメキシカン1000ラリー(バハ1000の前身)で優勝するなどオフロード・レースで活躍するとともに、気軽なレジャー・ビークルとしてアメリカの若者たちに大ヒットした。
メイヤーズ・マンクスの発想へのフォロワーが続々と登場し、これらのバギーは「デューン・バギー」、あるいは「サンド・バギー」と呼ばれる一大ジャンルに成長。1970年に日本で発売されたダイハツ・フェローバギィもその系譜に連なるものだ。
近年、グループ全体でEVシフトに取り組むVW社でも、ブランドのヘリテージを再構築するべくワーゲンバス(タイプ2)のEV版を発売しているが、その一環として、2019年のジュネーブショーでは「ID.バギー」と称するコンセプトカーを発表した。ID.バギーの元ネタがメイヤーズ・マンクスであることは公認の事実で、こちらは市販予定について否定もされていないが、現在のところ続報は出ていない状況だ。
昨年94歳で大往生した始祖ブルース・メイヤーズ氏の隠し玉!?
デューン・バギーの本家というべきブルース・メイヤーズは、1971年にいったん会社を畳んでいたのだが、2000年に再び「メイヤーズ・マンクス」社を設立し、バギーのキットやパーツの供給、そしてバギーの製造も再開。オーナー向けの会報を出したりイベントに登場するなど、デューン・バギー界の守り神のような好々爺として積極的に活動していた。
「メイヤーズ・マンクスの新たな展開を準備している」といった旨を定期的にほのめかしていたものの、その真相を明らかにすることのないまま、2021年2月、半世紀以上もデューン・バギーに携わった94年の生涯の幕を閉じたのだった。