超大物デザイナーが手がけたEV版「メイヤーズ・マンクス2.0」
そして創業者ブルース・メイヤーズの逝去から1年半を経た2022年8月8日、メイヤーズ・マンクス社から電撃的に、完全バッテリー駆動のEV版「メイヤーズ・マンクス2.0エレクトリック」が発表されたのである。
しかもスタイリングを手がけたカーデザイナーは、フリーマン・トーマス。初代VW「ビートル」を現代に復活させた「ニュービートル」のデザインを担当し、さらに「アウディTT」では20世紀初頭にドイツで花開いた「バウハウス」のデザイン思想をモダン・スポーツカーで表現した人物である。
実際、公開されたメイヤーズ・マンクス2.0の画像を見れば、半世紀以上も愛されてきたデューン・バギーのアイコンを21世紀のEV時代に換骨奪胎するという今回の野心的なプロジェクトにおいて、フリーマン・トーマス以上のデザイナーはいなかっただろうと思えてしまう。
とくにフロントフェイスはほとんど初代そのままで、フェンダーの形状がよく見れば変わっているとか、ノーズに冷却用のエアインテークが目立たないように備わっている、といった間違い探しレベルの再現度だ。
リヤエンジン車からバッテリーEVに進化したことでリヤのスタイルは大幅に刷新されているものの、これまで現れてきた数々のEVリバイバルの「そうじゃない」感と比べると、オリジナルのシェイプをうまく活かしていて好感がもてる。LEDテールランプが初代と同様の楕円形になっているのもさりげなく心憎いポイントだ。
2023年納車の「ベータ版」は8月19日受注開始!
メイヤーズ・マンクス2.0エレクトリックのEVとしてのスペックも紹介しておこう。パッケージは2種類で、バッテリー容量20kWhのベースモデルが航続距離150マイル(約240km)、オプションで用意される40kWh仕様が航続距離300マイル(約480km)となる。車両重量は20kWh仕様が1500ポンド(約680kg)、40kWh仕様が1650ポンド(約750kg)と本当に軽量なのも特徴だ。
駆動用バッテリーは2つ、後輪の左右に1基ずつ搭載されて後輪駆動となるので、初代メイヤーズ・マンクスのような軽快な走りをEV時代に再び味わうことができるはず。モーター出力など詳細は明らかにされていないものの、0-60mile/h(約96.5km/h)加速は4.5秒とのこと。EV=鈍重化、といったこれまでの残念なイメージを覆す性能を誇っているのである。
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最初の50台は「ベータプログラム」として2023年に納車され、そのオーナーたちのフィードバックを得たうえで2024年から本格的に生産スタートとなる予定だ。まもなくカリフォルニアで開催される「モントレー・カーウィーク」にて実車がお披露目された後、2022年8月19日からメイヤーズ・マンクス社のウェブサイトでベータ版の予約を受け付けるとのこと。今のところ価格は不明だが、近日中に明らかにされることだろう。