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日産「キャラバン」に上質な「オーテック」が登場! 働くクルマにワークスコンプリートが設定された理由とは

キャラバンオーテックのイメージ

スポーツ&プレミアムをうたうオーテックになぜキャラバン?

 2022年7月7日に日産キャラバンの最上級モデルとして追加された「オーテック」。スポーツ&プレミアムをうたうワークス系コンプリートカーになぜ商用車が用意されるのか。それは国内ワンボックスバンのシェアを争うトヨタ・ハイエースとキャラバンのマーケット事情にある。

ライバルのハイエースは法人のみならず個人からも支持される

 現行車のデビューはハイエースの2004年に対して、キャラバンは2012年。当然、ハイエースを研究して後出ししたにもかかわらず、販売台数の割合は発売当初から3対1~4対1とハイエースが圧勝している。もちろん、その状況に日産陣営も手をこまねいているわけではなく、最近でいえば2021年10月にATをハイエースより1段多い7速化し、2022年3月には最新のクリーンディーゼルエンジンを搭載するなど、積極的にテコ入れを図っている。にもかかわらず、その差は縮まっていないのだ。

 ルックスの好みや販社の数はさておき、パッケージは同等、動力性能や各部の質感は今となってはキャラバンが上回っているにもかかわらず、ハイエースの方が売れ続ける理由はどこにあるのか? それは下取りの高さもあるが、一番はパーソナルユーザー比率の高さではないだろうか。

打倒ハイエースの次なる一手がプレミアム路線のコンプリートカー

 これはコロナ禍の影響で、広大な空間を趣味の部屋として活用するホビーカーとしての需要が増えていることが大きい。となると車齢の長く、販売台数も多いハイエースのほうがアフターパーツも豊富で、オンリーワンなカスタマイズが楽しめる環境が整っている。その結果、ドライバーズカーとしてどちらを選ぶかは明白であり、それが販売台数にも多大なる影響を与えているのだろう。

 日産もパーソナルユーザーの獲得が販売台数アップにつながることは理解しているようで、2021年のマイナーチェンジでは廉価版のDXを一部廃止するとともに、先進装備や快適装備を充実。さらにグランドプレミアムGXとEXという上級グレードを追加している。そして、次なる一手がハイエースにはないコンプリートカー「キャラバンオーテック」のラインアップというワケなのだ。

スタイリッシュな外装と質の高い内装がオーテックの魅力!

 新生オーテック・コンプリートカーに共通するイメージを持たせた、スタイリッシュなエクステリア。ブラックのレザレット(人工皮革)シートやアイコニックカラーであるブルーステッチ、専用エンブレムなど量産モデルでは手に入らない装備とエッセンスが加えられた質の高いインテリアは、オーナーカーとしての満足度を満たしてくれる。

 ただ、個人的にはオーテックと名乗るならサスペンションやブレーキなど、曲がる、止まる部分にも手を加え、従来のカスタムカー「ライダー」を超えるように総合力を磨き上げてほしかったと思う。ちなみにTRDのハイエース用パーツは、専用の足まわりが設定されている。ただ、キャラバンオーテックには外観のみを専用デザインとした「エクステリアセレクション」も設定されていることを考えると、コンプリートカーというよりは「ライダー」に変わるドレスアップカーという位置付けだ。また、オプションのエアロパッケージのデザインは、ライダーと共通なのも少々残念。あとはオーナーの手でご自由に、というスタンスなのだろう。

カスタマイズの選択肢が増えれば注目度も高まるはず

 キャラバンオーテックという新たなカスタマイズ車両が登場し、オーナー目線でいえば選択肢が増えたことは喜ばしいが、ディーラー系だけでTRD、モデリスタと複数選べるハイエースと比べると、まだ明らかにタマ数不足。標準車のオプションとして選べるエアロパーツがもう少し増えればと思う。登場する可能性は低いがNISMOバージョンがあれば人気が出そうだが……。

 また、ワンボックスバンという性格上難しいかもしれないが、キャラバンの顔はハイエースに近しい。機能美的なカッコよさなど、ひと目で日産キャラバンと分かる個性があれば、販売台数の差が縮まる可能性は十分にある。確かなブランドを確立しているハイエースの牙城を崩すことは容易ではないだろうが、日産のさらなるチャレンジに期待したい。

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