英国の老舗コーチビルダー「ドアモービル」社によるキャンパー
さて会場に並ぶ2台を改めて見ていこう。まずは右側のライトブルーとオフホワイトの車両。こちらは1958年式ベッドフォードCAのショートホイールベース車両をベースにドアモービル(Dormobile)社が架装したキャンピングカー仕様となっている。
シートは倒すことでフルフラットになる仕組みだ。ちなみに後部にコンロやシンクが備わるが、現在レストア中とのことで全ての装備が備わっていない状態とのこと。ルーフはアコーディオン状にポップアップし、立ったまま調理などの作業ができるようになっている。
兵員輸送車の過去を持つロングホイールベース版
続けてグレーの車両を見ていこう。こちらは1963年式のロングボールベース車両。通常はリヤが観音開きとなるのだが、この車両は中央のみが開くシングルドアとなっているのが珍しいそう。新車当時は軍で兵員輸送などに使用されていたそうで、セカンドシートの後ろには横向きのベンチシートが備わる。特筆すべきはロングホイールベースとなるとスライドドアも長くなるため、開口部が広くなるという点だ。ちなみにかなり大きく見えるが、ロングホイールベース車両でも全長は約4.2mと、現代の乗用車よりもはるかにコンパクトだ。
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1950年代から1960年代の欧州の「働くクルマ」というと、ドイツではフォルクスワーゲン・タイプ2(通称ワーゲンバス)が世界的なベストセラーになっていたし、フランスではシトロエンH(アッシュ)バンやルノー・エスタフェットが活躍していた。
それらライバルと比べて、洗練されていたとは言いがたいイギリス代表のベッドフォードCAであるが、今となっては一周して、濃厚なノスタルジーを感じさせて魅力的だ。そして、あまりに不遇な評価に甘んじてきたがゆえに、ライバルたちよりも遥かにレアな存在となってしまった「ありふれたクルマ」の好例でもある。人とかぶらないクラシックカーを望む趣味人なら、一考の価値あり、である。