近年はF1マシンも2ペダル化となっている
「オートマ車で走りを楽しむなんて無理無理」と言っていたのは古い話になった。今や、F1を筆頭にスーパーフォーミュラも、スーパーGTのGT500もGT300もすべて2ペダル車。厳密にはオートマチックではないが、パドルシフトのため従来のシフトレバーでの変速操作はなくなった。
変速のみ機械が自動で行う2ペダルMTが先駆け的存在
では、市販車はどうなのか。古めなところでいうとBMW M3(E46)で採用された「SMG II」は、ATではなく2ペダルMTで、かなり走りを楽しめた。この2ペダルMTとは、トランスミッション自体はマニュアル車と同じ機構のものを採用しており、クラッチ操作とシフトチェンジを機械がやってくれるというものだ。
そのため発進時やシフトアップ時にややタイムラグがあることが多い。それでも近年はその変速の時間も徐々に速くなり、違和感がなくなってきている。メリットとしては乾式クラッチとトランスミッションが組み合わせられているので、比較的丈夫なことである。
2ペダルMTや素早い変速が可能なDCTも人気に!
日産GT-R(R35)や三菱ランサーエボリューションXは、素早くシフト操作するためにクラッチがふたつあるタイプ。1/3/5速側クラッチがつながっているときに、2/4/6速側クラッチはつながっておらず、変速するときには、片方のクラッチが離れて、もう片方が伝達するので素早いシフトアップ&ダウンが可能なのだ。
R35 GT-Rについては車両価格にふさわしく、トランスミッションの耐久性もなかなかのもの。2007年登場初期モデルはいろいろとトラブルはあったが、近年は対策されていて問題なし。800psや900psでも普通に使えるという。
同じようにランエボXの「SST」もツインクラッチ式。素早い操作性とダイレクトなつながり感があり、サーキット走行でも十分に楽しめた。本格的にパワーアップする人向けに強化クラッチディスクなどもリリースされていたほどである。
ちょっと変わったところだとアバルト595の2ペダルも人気がある。決してシフト操作は速くないが、ちゃんと2ペダルスポーツとして楽しめる。このクルマの場合、2ペダル車のトランスミッションは問題ないのだが、姿勢の電子制御が介入してサーキットではなかなか思い通りに走れず、マニュアル車の方が走りやすいという。