時代が早すぎたと言っては身も蓋もないが……
人間というのはワガママというか、価値観は時代によって変わるというか。新車当時は不人気だったのに、今になって注目が集まるという例がある。早すぎたと言ってしまえばそれまでだが、注目が集まらなくても、今思うといいよね、というモデルは多数。そんな今になって再評価されるクルマを紹介しよう。
日産スカイラインGT-R(R33)
R32で衝撃が走って、その次はどうなるのかと期待されたが、ボディが肥大化してしまったのがR33。次のR34は磨きがかかり引き締まっただけになおさらだった。「スカイライン、人気・不人気交互説」ってやっぱりあるんだなと思ったものだ。ただし、改めて見るとドッシリとした佇まいは見ごたえがあるし、シャープさに欠けていると思った走りも大人のテイストに感じられる。GT-Rは軒並み高騰しているが、R33は比較的おだやかだったりするのも、いいところではある。
ホンダ・シビックタイプR(EP型)
初代はシビックらしいスタイルで、インテRの弟分としての風格があった。それがタイプRとしての2代目はなんとも言えないスタイルだったし、パワーもダウンしてしまって、それほどの伝説は残せなかったのは事実。ベース車あってのタイプRなので仕方がないが、今見ると、ちょっとずんぐりむっくりした佇まいも愛嬌のある雰囲気で好印象だ。
ホンダ・シビックタイプRユーロ
3代目のシビックタイプRがFD2型で、それと並行する形で登場したのがイギリスからの逆輸入となったタイプRユーロ。こちらもパワー的にはそこそこで、乗ってもパンチはあまりなくマイルドな感じ。日本仕様のシビックでは採用されなかった、UFOのようなデザインは今見ると、個性的に思えてくる。
ホンダ・ステップワゴン(3代目)
ステップワゴンといえば、箱型ミニバンの先駆者ながら、微妙にコンセプトがずれるのが特徴だったりする。3代目に登場したのがフローリングフロアと、障子のようなトップライトルーフ。まさにお家感を演出していたが、やりすぎだったからか、あまり評価されず。しかし、改めて思えばツルツルのフロアというのはクリーンな感じだし、掃除も楽。上から注ぐ光も柔らかでいい感じだっただけに、なぜ当時は今ひとつと思ったのか、不思議なぐらいだ。
ホンダS-MX
寸詰まりのステップワゴンみたいにも見えるデザインだったが、ローダウン仕様もあって重厚な感じをうまく演出していた。一番の売りは前席がベンチシートになっていることで、「動くラブホ」なんて言われたりと、話題になった割には人気は今ひとつだった。今思うと、変な意味ではなく、単純にフロントがベンチシートというのは、横並びに3人座れないにしても、とても使い勝手がよかった。
番外編:スポーツカーのAT
これは個々の車種ではなくて、AT仕様全般。マツダ・ロードスターやRX-7、スズキ・カプチーノにトヨタ・スープラなど、スポーツカーと言えばMTと言われつつも、結構なモデルでATが用意されていた。当時は「そんなもの乗るのは邪道」的な扱いを受けていたが、スポーツカー激減の今、硬派なテイストを求められることもなくなったからか、イージードライブもいい気がする。スタイルはあくまでもスポーツカーで、それを楽ちんに楽しめるのは改めて考えるといい。ただ、当時のATは制御が大雑把ではあるのだが。