高価格でも売れまくりなトヨタのドル箱モンスター
昨今の日本の乗用車を取り扱う上で避けて通れないのは「アルファード(&ヴェルファイア)問題」。なにしろ3世代目にあたる現行モデルは2015年1月登場とすでに7年超ながら、直近の2022年上期(1~6月)の販売台数は乗用車中でなんと第7位、台数でいうと3万4799台とアクア(3万4143台)を凌ぐ勢い……というと、かつてカローラよりも売れまくったマークII 3兄弟のごとし、である。ちなみに同期(1~6月)の順位も6月こそ12位に留まっていたものの、1月/9位、2月/10位、3月/7位、4月/5位、5月/6位と、コンスタントに10ベスト以内にランクイン。さらに昨年2021年は乗用車全体で4位、2020年は5位と、これまた天晴れな記録を残していた。
こうした事実について少し前にトヨタに確認したことがあったが、その時の見解は「公用車や法人需要、ホテルの送迎車といった用途が多いことが要因なのではないか」とのことだった。いずれにせよ、この間にマイナーチェンジ、改良は幾度も入っているとはいえ、あれだけの大柄かつ高価格車にもかかわらず引く手あまたとは、くだけていうと、まさにオバケのようなクルマなのである。
打倒エルグランドに全集中した総満艦飾な商品
このトヨタ・アルファードだが、もともとのルーツは1999年8月に登場した高級キャブワゴンの「グランドハイエース」(グランビアの兄弟車)に辿り着く(さらに車名でさかのぼれば、1980年代の上級1BOXの「ハイエースワゴン」が高級多人数乗用車としての源流といえなくもない)。ところがこのグランドハイエース登場の2年前の1997年に日産から初代「エルグランド」が登場しており、このクルマが高級ミニバン市場市場で大ブレイク。そのことに刺激されたトヨタが、打倒エルグランドを掲げて登場させたのが初代のアルファードだった。
2002年5月登場の初代アルファード(Gの名称がついていたが以下省略)は、それまでのトヨタの上級ミニバン系のモデル(グランビア、グランドハイエース、ハイエースレジアス、ツーリングハイエース)を統合する役割を持つモデルだった。
さらにトヨタらしいのは、初代アルファードはそれよりひと足速い2000年1月に登場した2代目エスティマとFFプラットフォームを共用して誕生したということ。エスティマとは2900mmのホイールベースが共通だったことがその証拠だが、こうすることでミッドシップレイアウト+ワンモーションフォルムで感度の高いアーリーアダプターを惹きつけた初代の先進性を受け継いだエスティマに対し、存在感のある高級ミニバンを欲する日本のミニバンユーザーに響くスタイルに作り分けることで、商品ラインアップの拡充を図ったのだった。