理屈より威風堂々たるスタイルで魅せるカタログ
それにしても威風堂々とした初代アルファードのスタイルの存在感は、絶大なものだった。筆者の手元で見つかったカタログは2005年4月のマイナーチェンジ時のもので、象徴的なフロントグリルのディテールは最初期型(横桟が1段多く、マイナーチェンジ後のほうがパターンが細かく見えた)とは別のデザインだ。それにしてもカタログを開くと、とくに工夫を凝らしたコピーが添えられるでもなく、理屈抜きで、オノマトペで表わせば「ドーン、ドーン!」と車両の外観写真でまずは見せる(魅せる)構成。
さらにページを捲ると、ミニバンながら最初にオーナーの居場所であるインパネおよび前席のカットが登場。カタログの写真ではアイボリーのレザーシートと木目のインストルメントパネルがジックリと堪能できる。
続いて今度は室内全体の写真になり、550mmストロークのスライド機構&アームレスト付きの2列目キャプテンシートが登場。別のページにはオットマンやシートアレンジが紹介されている。アルファードはFFながら床面の下げ具合はそこそこにしてあり、それは確か、上級クラスのミニバンらしく目線が下がりすぎないように配慮したためだった。
数々の豪華装備はドライバーへの「おもてなし」
デュアルパワースライドドア、パワーバックドア、イージークローザー、パワースライドドアの開閉操作等が行なえるワイヤレスマルチコントロール、オプティトロンメーター、LED室内間接照明、スーパーライブサウンドシステムなど、羅列し始めたら際限ない装備の数々も、アルファードの自慢のポイント。
機能説明の最後のほうにVSC、EBDの説明や、パワーユニット(V6の3Lと4気筒の2.4L)、H∞(インフィニティ)TEMSといった走行性能に関わるメカニズムの紹介も出てくるとはいえ、全体のトーンはあくまでも「ラグジュアリーな最上級ミニバンの世界への誘い」である。
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「ドアを開けて乗り込む瞬間、シートに着いた途端、そして、室内で過ごすすべての時間、心尽くしのもてなしを感じ取っていただけるはずです」とは、カタログの中の文面の1例だが、上質な紙質といい、ときにアンバーがかけられたコンサートホールのカットであったり。改めて見返すと、クラウン(当時)クラスのユーザーの琴線に触れるような作りのカタログであったことがヒシヒシと伝わってくるのだった。