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「西部警察」の印象が強い日産「ガゼール」とは? 短命に終わった「シルビア」との兄弟車を振り返ろう

日産ガゼール2000ZSE-X

テレビドラマ「西部警察」にも登場した

 日産を代表するスポーツモデルといえば、スカイライン(GT-Rを含む)、フェアレディZ、そしてシルビアが思い浮かぶ。ところでその昔、シルビアの兄弟車に「ガゼール」という車種があったのを覚えているだろうか。

 ガゼールは1979年に三代目シルビア=S110の双子の兄弟として登場したモデルだ。オースター/バイオレット(A10)がベースだったため、あまりスポーティとはいえず、どちらかというとスペシャリティカーといった存在だった。ただし同じスペシャリティカーでも、ツインカムエンジンを与えられたトヨタ・セリカに比べると、パンチ力のないクルマだった……。

 しかし後期型になり、R30スカイライン(6代目)に搭載されていたDOHC4バルブのFJ20エンジンを搭載した「RS」が登場したことで、あらためて見直されはじめた。なお、シルビアとの違いは、フロントグリルとフェンダーミラー、Bピラーのデザインなどだ。

 ちなみに車名のガゼール(gazelle)の由来は、アフリカおよびアジアの乾燥地帯に住む、シカに似たウシ科の動物から命名されている。

ガゼールといえばデカールにインパクトがあった

 シルビアの販売店がサニー系列だったのに対し、ガゼールはローレルやセドリックを扱うモーター店系で販売。そのためガゼールはサイドブレーキのグリップが革巻きなど、少しだけ高級感がプラスされていた。また、ディーラーオプションで、ガゼールをイメージしたボンネットに貼る大きなグラフィックが用意されたのもガゼールの特徴だった。

 もうひとつのトピックとしては、当時放映されていたテレビドラマ「西部警察」に、ガゼールの2000XE-IIの5速MTをベースにしたオープンカーが劇中車として登場したこと。石原裕次郎(木暮課長役)の専用車で、自動車電話まで装備されているという設定だった。この西部警察仕様のガゼールにも、前記のボンネットグラフィックが貼ってあり、ガゼールの名を広めるのにひと役買っていた。

 初代ガゼールS110は、1983年の夏まで生産。そのキャッチコピーは「未来から大股でやって来た」だった。

2代目はわずか3年で販売が終了

 そして本格的なスポーツモデルになったのは、1983年デビューの2代目ガゼール(S12)からとなる。初代はフロント:ストラット、リヤ:4リンクリジッドコイルだったのに対し、S12からはリヤがセミトレになって、四輪独立サスペンションに進化。エンジンもFJ20ターボが与えられ、2リッターのスペシャリティカーのなかではクラストップの動力性能を得た。

日産ガゼール クーペ ターボ R-L

 それに加え、新たにCA18Eターボも投入。バランス的にはこのCA18Eターボの方が相性がよく、素直で本格的なスポーツカーといえる走りが楽しめた。

 スタイリングはクーペとハッチバックの2タイプで、ワイパー付フルリトラクタブル・ヘッドライトとなったのが大きな特徴。FJ20ターボを搭載する「RS」にはボンネットに大きなパワーバルジがついた(エンジンが収まらなかった……)。この「RS」のキャッチコピーは「群れよ、さらば」「ガゼール・ドリーミング」だった。

 しかし3年後の1986年、シルビアがマイナーチェンジするタイミングでガゼールの販売は終了。およそ7年の短命に終わってしまった。

 とはいえワークスチームではなかったが、セントラル20やZスポーツが、ガゼールのGr.5仕様を作って、シルエットフォーミュラ(スーパーシルエットシリーズ)に参戦。派手なオーバーフェンダーと大きなウイングで武装したガゼールのインパクトは強く、短命の割にガゼールの存在は人々の記憶に色濃く残っている。

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