会場内はグルメに自動車メーカーブースなど見どころ満載
レース観戦にはグルメも欠かせません。ベルギーの名産といえば、日本でも有名なチョコレートやワッフルといったお菓子やムール貝、ベルギービールはもちろんのこと、「フリッテン」いわゆるフライドポテトも有名。国民的なスナックで街のあちこちにこのフライドポテトのお店があるくらいです。
サーキットでも、もちろんこのフリッテンとベルギービールの相性は最高! マヨネーズベースの特性ソースをつけながら食べるのが定番で、数多くのファンがビールとフリッテンを片手にレース観戦を楽しんでいました。レースがスタートして一旦落ち着くと、イベント広場はスナック類やビールのおかわりを求めて長蛇の列となりますが、それも全く苦ではなさそうです。なぜなら、イベント広場からはオールージュが見渡せるとあり、レースを観ながら順番を待てるからなんですよ。なので、多少の行列が長くても、イライラしている人は見あたりません。
スパ24時間レースのパドックには各自動車メーカーの展示ブースも並び、見て回るのも楽しみのひとつです。まだデリバリーされていないモデルが展示されていたり、珍しい特注カラーのクルマが展示されている場合もありますので、それらを見付けるのもワクワクしますね。無料でステッカーや応援フラッグをはじめ、さまざまなグッズを配布しているブースも多いので要チェックです!
セレブリティ感満載のホスピタリティは、VIPゲストやチーム関係者のみが入場可能とあり、外からどんな感じか窺うのもワクワクします。VIPゲストが手に持っておられるお土産の紙袋の中身もとても気になるところです。
このスパのレースウィークには、来年にレースデビューするフェラーリ296 GT3とポルシェ911 GT3 Rの2台の新型レーシングカーの実車がパドックで世界初披露。報道関係者はもちろんのこと、多くのファンがカメラを構えるなど大注目を浴びていました。GTレースの本場ならではのプレゼンテーションで、日本ではなかなか見られない光景です。
夜中は暗闇の中でも迫力のバトルが繰り広げられる
ヨーロッパの夏は日本よりも随分遅く、22時ごろまでは薄暗い夕暮れが続きます。そこから深夜のナイトセッションに入ると、コース上にはほとんど照明がありませんので真っ暗の中でますますレースはヒートアップします。暗闇で視界が悪いなか、後ろから物凄いハイビームで照らされながらもアクセル全開で駆け抜けるドライバーたちは、本当に凄い精神力だと思います。コース脇で観ているとハラハラドキドキで、スリリングな場面にも遭遇します。
最後の最後まで何が起こるか分からず、長くもあり、あっという間に終わるのが24時間レースの醍醐味です。ニュルブルクリンクのようにコース脇でキャンプができないのが残念ですが、キャンプ場で家族や仲間と、またはソロで楽しむよし、ペンションやホテルでゆっくりするもよし、観戦方法や楽しみ方は人それぞれですよね。今年のスパ24時間レースは「スパウェザー」に惑わされることがなく、良いお天気に恵まれてファンのみなさんはずぶ濡れにならずに済みました。
レースは残り1時間半で波乱の展開に
最後の数時間はトップ10が同一周回数、ほぼ同じラップタイムで走行し、ピットインをしたタイミングで順位がシャッフルされて、誰が勝つのか本当に分からない状態でした。レースもクライマックスの残り1時間半で、トップ10内にいた2台のBMW M4 GT3が相次いでタイヤバーストを起こしてタイムロス、そこで優勝争いからは外れてしまいました。
最後はメルセデスAMGが表彰台の全てを独占するかと思いきや、フェラーリが踏んばり3位入賞! メルセデスAMGはなんと2013年以来、9年ぶりとなる総合優勝を遂げました。その喜びはきっと何よりも特別なものだったに違いないでしょう。今年はAMGの創業55周年。その記念となる年にGT最高峰レースで勝利を飾り、華を添えましたね。
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ゴールした多くのマシンはその激しい戦いを物語るように傷やオイルの跳ねた跡だらけです。ロッシのマシンも左側のヘッドライトが無くなり、ガムテープでぐるぐる巻きに補修されていました。参戦する方も観る方も、ぐったりする24時間レースですが、ひと晩眠るとすっかりその疲労を忘れ、来年が待ち遠しくなるのはなぜでしょうか? 2023年のスパ24時間レースが、今から楽しみです!