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「ピロボール」って何? 本気で走るなら効果絶大なのに純正採用されない理由とは

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TEXT: 加茂 新(KAMO Arata)  PHOTO: HKS/CUSCO/Auto Messe Web編集部

走りにこだわるクルマでは純正で採用されることも

 そんな良いことだらけのピロボールだが、もちろんデメリットがあるから純正採用されることが少ない。それは寿命だ。金属同士が支え合うのでどうしても摩耗によって減ってきてしまう。そうなるとクリアランスが広くなり、ガタが出やすい。また、汚れを噛み込んで異常摩耗してしまうこともあるのだ。

 レーシングカーでは定期交換が前提だし、走行後は圧縮空気でピロボールに噛んだゴミを飛ばして清掃する。そういったこまめなメンテナンスをしつつ、定期交換のサイクルも短いパーツなのでノーマルには採用されにくいのである。

 それでも、過去にはランエボが純正アームにピロボールを採用し、ゴミが入らないようにその周囲にゴムカバーを付けていた例もあり、走りにこだわるクルマでは時おり採用されている。

 なお足まわりのチューニングは車検には注意が必要で、ロアアームなどを交換すると事前に申請が必要になる。しかし、純正アームのブッシュをピロボールにするのは不問。なんならTRDやSTIからは純正アームにピロボールを打ち込んだアームを販売しているほどだ。価格も5万円ほどと、純正アームにピロボールを打ち込む工賃を考えたらお得な値段だ。

* * *

 ピロボールの寿命は一概には言えないが、10年使うようなものではない。走る量や降雪地帯かどうかにもよるが、4~5年ごとにはピロボールの交換が必要になるイメージだが、それを上まわるメリットは十分にあるチューニングパーツといえる。

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  • チューニングライター。1983年生まれ。父が初代VWゴルフ、シトロエンBX、ZXなどを乗り継いでいた影響で16歳で中型バイク(ZRX400)を購入し、大阪芸大時代にAE86を購入。卒業後はチューニング&ドラテク専門誌を15年間製作し(約2年の編集長を含む)、数多くのレースにも参戦。2021年春よりフリーランスとなる。過去には180SX、S15、NA8、SCP10、86前期&後期を所有。現愛車はAE86、GR86、ZC33Sスイフトスポーツ、CBR954RR。
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