レースでは盛大に跨いでいくが……
サーキットのコース内にある赤と白、もしくは青と白で塗り分けた縁石。カラーリングからゼブラゾーンとも呼ばれており、多くはカマボコ状だったり波状だったりする。レースの映像を見ると当たり前のように乗ったり跨いだりしているが、どう考えても挙動は不安定になるし果たして意味はあるのだろうか。
すべての縁石に乗っていいわけではない
ベテランのドライバーに聞くと「乗っていい縁石とダメな縁石」があり、タイムアップに繋がる反面、スピンやクラッシュの可能性もあるという。それらの理由や安全な縁石の見極め方、乗る際に注意すべきことを調べてみた。
縁石を作る最大の目的はコースの端がココまでだと教えるためで、視覚と併せて乗った際の振動でもドライバーに注意を喚起する。サーキットの路面は一般道よりグリップする特殊舗装だが、そこを外れると芝生や砂利でコントロールを乱してしまう。またレースでは縁石の内側をショートカットするのは違反で、ベストラップ削除などペナルティの対象になる行為なのだ。
挙動を乱したり愛車にダメージが残る可能性もある
では乗っても大丈夫でタイムアップに役立つ縁石と、リスクの大きい縁石はどう見分ければいいのだろう。まず最近の主流である波状になっているデコボコの縁石は、挙動を乱しやすいうえ足まわりやボディの負担も大きく、初心者だろうと上級者だろうと乗らないのがセオリー。仮にオーバースピードでコース内にとどまるのが難しかったり、ほかのクルマを避けるために止むを得ず乗るようなケースでは、できるだけステアリングを真っ直ぐに保持してやり過ごそう。
コーナー内側の頂点に多い高さのある縁石も同様で、挙動が乱れるうえ下まわりをヒットする危険性もある。プロドライバーは車高の低いクルマで難なくクリアしているように見えるが、それはハイスピードでロール量もあり車体が傾いていることや、擦らないギリギリのラインを正確にトレースしているからこそだ。つまりマシンコントロールに自信がある上級者は別として、縁石を使うのはメリット以上にリスクが大きいといえる。
コースと同じフラットタイプなら乗っても安心だが注意点も
ビギナーでも割と安全なのはコースに近いフラットな部分。ただし縁石はコンクリート製で塗装が施されているため、舗装よりグリップが著しく低いことを覚えておきたい。とくに雨で濡れている縁石は非常に滑りやすく、ウエット路面では絶対に乗らないよう注意。
さらにサーキットの路面にはカントと呼ばれる傾斜があり、大半はイン側に向かって低くなるよう設計されている。つまり内側の縁石に近くなればなるほど水が溜まりやすく、路面がドライのとき以上に縁石を使うリスクが増してしまう。結論としては0.1秒を争うレースやタイムアタックは別だが、一般の走行会じゃ使うメリットは皆無に近いといっていい。大胆に縁石を使った走りはアグレッシブでカッコよく見えるものの、クラッシュや大切なクルマを壊してしまう危険と背中合わせなのだ。