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ブレーキパッドの「焼き入れ」って必要? 新品交換後の「慣らし」の儀式を検証しました

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TEXT: 加茂 新(KAMO Arata)  PHOTO: ENDLESS/Auto Messe Web

昔はチューニング派のお約束だった「焼き入れ」

 ブレーキパッド交換をしたら「焼き入れ」をしたほうがいいとか、しないほうがいいとか、巷間には諸説ある。結論を先に言えば、焼き入れは不要。とはいえ、サーキット用なら良い感じに焼き入れすると使いやすくなるのも事実だ。

今どきのストリート用ブレーキパッドでは不要

 ブレーキパッドを新品にしたら「焼き」を入れなくてはいけないと言われていたのは過去の話。結論としては、現在のストリート用パッドでは「焼き入れ」は不要だ。そもそもなぜ焼き入れが必要と言われていたかというと、理由はふたつある。

【1】ガスが発生する原因の物質を焼き切るため

 パッドに起こるトラブルでもっとも怖いのがフェード現象だ。これはパッドに含まれる樹脂成分などが焼けて、そこから発生したガス(煙)によってパッドがローターから浮いてしまい、ブレーキを踏んでも利かなくなってしまう現象。これを防ぐために、ある程度温度を上げてパッドの樹脂を焼いてしまおうというのが狙いである。

【2】ローターに皮膜をつけるため

 パッドをある程度の温度に上げることで、摩材が溶け出してそれがローターに皮膜を作る。このローターの被膜とパッドが摩擦することで、狙った利きが実現する。

 だが、どちらも現代のストリート用ブレーキパッドでは焼き入れは不要なのだ。

 なぜなら、フェードを防ぐための焼き入れだが、街乗りや高速道路を走行するくらいではフェードすることがない。すなわちパッドを意図的に焼いてガスを出す意味があまりない。それにブレーキパッドメーカーでは、結構な高温でパッドを焼いてから出荷しているため、それなりに出荷時点でガスは排出されているのだ。

 ローターに皮膜を作る狙いでは、ただ単に高温にすればいいわけではなく、むしろ50%くらいの利きの長いブレーキングを何度も繰り返したほうが、皮膜が安定してできやすい。思いっきり高温にして焼くというより、当たり付けをするようにギューッと長いブレーキングをしたほうが良いのだ。

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