スッキリあか抜けたスタイリングもFFの美点だった
見逃せないといえば、スタイリングもそうだ。たしかに初代カムリ/ビスタが登場した1982年のトヨタ車といえば、おしなべてシャープなデザインの直線基調のクルマが主流だった。その中で初代カムリ/ビスタも分類すれば、直線基調でほかのトヨタ車と足並みを揃えているかのようだった。ところがFFのパッケージングをもとに、他車とはそこはかとなくムードの違う、斬新であか抜けた印象だったことは今でもクッキリと思い出せる。
筆者はごく個人的に、リヤドアにパーティションを持たない6ライトキャビンのスッキリした佇まいに、その頃のルノーのセダンあたりやB2アウディ80あたりのイメージを重ねて眺めていたものだ。
ちなみに登場年の1982年8月になると、ビスタに5ドアが追加設定され、リヤシートを倒せばセダンの約3倍(セダン385L、5ドア1112L)というラゲッジスペースが得られるプラスアルファの実用性を実現させ、クルマをレジャーや趣味に使いこなすユーザーからも注目を集めた。
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最初からFFセダンとして登場したカムリのブランドイメージそのものは決して派手なものではなく、あくまでもスマートで賢いクルマを選びたい……そんなユーザーに好まれた。
TNGAをベースとする最新モデルはじつに10代目にあたり、先頃、日本市場でもマイナーチェンジを受けるなどしながら存続しているが、このクルマの場合はむしろ海外市場での人気が高く、とくに北米市場では長年ベストセラーの座にあったほど。実用セダンとしての実力を日本国内よりも海外市場で発揮、評価されてきたブランドなのである。