安全運転管理者にアルコール検知器の使用が義務づけされる
会社や団体など、一定の台数以上のクルマを運用している事業者では「安全運転管理者」を選任する必要がある。2022年4月からの制度改正で、この安全運転管理者の行うべき業務に「アルコールチェック」が追加されたのをご存知だろうか。これによって安全運転管理者選任事業者には、ドライバーの酒気帯びの有無にかんして「目視等」での確認と、1年間の記録保存が義務づけられることとなった。
さらに2022年10月からはアルコール検知器の使用が義務づけられる予定だった。ところが、昨今のコロナ禍と半導体供給不足を背景に、7月15日に警察庁が実施したパブリックコメントには「最近のアルコール検知器の供給状況等を踏まえ、当分の間、適用しないこととすること」との内閣府令案が記されていて、現状はいったん保留扱いとなって、対応を検討している段階だ。しかし実施時期が未定になったとはいえ、遠からぬ将来に義務づけられることに変わりはない。企業などの労務管理においてアルコール検知器の導入と運用は身近な課題となっているのだ。
スマホと連携して管理が簡単なアルコール検知器
そのような状況のなか、JVCケンウッドは「ケンウッド」ブランドから、記録・通信型アルコール検知器「CAX-AD300」を2022年8月下旬から発売。8月23日から予約受付をスタートした。これまでも単体で機能するアルコール検知器は数多く市販されているが、このアルコール検知器の最大の特徴はなんといっても、Bluetoothを搭載することでスマートフォンとの接続・連携が可能なことにある。
使い方は、アルコール検知器本体でアルコール濃度の測定を行うとともに、スマートフォンで測定者の顔を自動で写真撮影。その測定結果と測定者情報のデータはスマートフォンの通信機能を使って管理者のPCに自動でメール送信することができる。
そして管理者が測定データを管理しやすいように、PC用の管理ソフトウェアが無料で用意されている。このシステムによって、安全運転管理者が運転者ごとのIDと照合されたデータを一元的に管理、保存できるというわけだ。運転者が別々にアルコール検知器で測定・記録した情報を回収して管理するフローと、今回ケンウッドが発売したスマホ連携アルコール検知器を比べれば、管理のスムースさのみならず、コンプライアンスの徹底といった観点からも、合理的な選択肢といえる。
アルコール検知器自体の性能についても、高精度・高品質な日本製の電気化学式ガスセンサーを採用し、さらにオートクリーニング機能によって安定した測定精度を保つことができる。また、国内唯一のアルコール検知器の業界団体「アルコール検知器協議会(J -BAC)」の認定機器で、第三者機関による検定試験もクリアしている。市場推定価格は4万円(税込)。