富山発のエアロメーカー「SDESIGN」
特別すぎるカスタムカーが勢揃いしていた2022年8月のイベント「FUELFEST」のパドックにおいて、ひときわ異彩を放っていたマシンを紹介しよう。このマシンを見た来場者が口々にした言葉、それは「このクルマは何?」であった。
得体の知れないオープンボディのルックスに変貌を遂げたマシンの名は「SD-2スピードスター・マイアミ」。製作したのは富山県にエクステリア専門の工房を構える有名エアロメーカー「SDESIGN」である。
ヘッドライト以外に面影なし
正体不明感たっぷりのこのマシン、ベースになっている車両はトヨタ「86」である。じつはこのボディキットをまとった86は、2019年開催の東京オートサロンとバンコクオートサロンに出展され、大注目を集め話題なった。
その後、約90%にも及ぶエクステリアデザインの見直しを行い、より流麗なプロポーションになるように工夫。86をベースにしながら、スポーツカーではなく、スーパーカーとしてグラマラスな造形を主張する量産市販エアロ「SD-2ボディキット」を完成させた。
ここで紹介する「SD-2スピードスター・マイアミ」は、「SD-2ボディキット」を装着させ、さらなるカスタムマイズの可能性を引き出すべく製作した1台であった。
SDESIGNはオーダーメイドによるワンオフエアロパーツを得意とするメーカーとして有名だ。つまり、イタリア語で言えばカロッツェリア、英語ならばコーチビルダーという表現がふさわしいだろう。そんな外装のプロ集団が本気を出すと、誰も見たことがないスーパーカー然としたスタイルも生み出せるというわけだ。このSD-2スピードスター・マイアミは、そんなカスタムカーに対する情熱を注いだチャレンジでもあった。
グラマラスなボディラインにエッジを効かせたSD-2スピードスター・マイアミの最大の特徴と言えば、屋根もフロントガラスも付いていない独特のフォルムにある。
目指したのは究極のロードスターであり、例えるならメルセデス・ベンツSLRマクラーレン・スターリング・モスやマクラーレン・エルバ、さらにはロータス3イレブンといったマシンだ。