スバルに存在した謎の車中泊キャンパーとは
スバルがかつて国内生産していた3列シートを備えるモデルといえば、ドミンゴとエクシーガの2モデルのみ。トラヴィックというモデルも販売されていたが、こちらはオペル・ザフィーラのOEMモデルであり、純粋なスバル車としてはこの2台となる。現在は海外生産の大型SUVであるアセントが存在するが、残念ながら正規の国内販売はされておらず、並行輸入に留まる。
そんなスバルの3列シート車の記念すべき初モデルとなるドミンゴは、軽ワンボックスであるサンバーをベースとして1983年に登場。3気筒1.0Lと1.2Lのふたつのエンジンをラインアップし、駆動方式もRRとAWDの2種類を設定した。コンパクトなボディに7人が乗車できるというコンセプトは、狭隘地区などで人気となり、海外でも販売されるほどであった。
2代目ドミンゴをベースにリフトアップテントを備えた「アラジン」
このドミンゴは2世代に渡り生産され、1994年にFA型と呼ばれる2代目が登場する。エンジンは1.2Lのみとなったが、初代同様RRとAWDを設定。さらに初代ではMTのみだったが、2代目では待望のECVTと呼ばれるスチールベルト方式のCVT車が登場した。そんな2代目ドミンゴのなかでも注目のモデルが1996年に追加された。それが「ドミンゴ アラジン」だ。
このドミンゴ アラジンは、2代目ドミンゴをベースに、ルーフにポップアップ式のルーフテントを装備。グラスファイバー製の軽量ルーフを430mmリフトアップさせることで、テント部分には長さ2m、幅0.84m、高さ0.5m、制限重量150kgとなる、大人ひとりと子どもひとりが就寝可能なスペースが出現する。
このテント部分にはルームランプやサイド部の開閉式の窓も装備され、アウトドアフィールドでも快適な車中泊ができる仕様だ。このドミンゴ アラジンには、ベースモデルと同じ7人乗りのアラジンリフトアップルーフのほか、キャンピングカー架装を施した「ドミンゴ アラジン キャンパー」も設定。給排水用タンク付きのシンクやガスコンロ、走行充電機能付きサブバッテリー、外部電源入力コネクターなど本格的なキャンピングカー顔負けの装備まで搭載していた。