ラリーで勝つために生まれたモデル
日産を代表するコンパクトクラスの車両といえば、マーチ(海外名:マイクラ)やサニー(同:セントラ)などが存在するが、サニーと同クラスの車種として存在していたパルサーもまた忘れてはいけない存在のひとつと言えるだろう。
1978年に初代モデルが登場したパルサーは、「パルサーヨーロッパ」というキャッチコピーからも分かるように、欧州のコンパクトカーに真っ向勝負を挑んだ世界戦略車。当時のカタログにはミニやVWゴルフ、ルノー5といった名だたる欧州コンパクトカーが登場するほどだったのである。
初代からラリーに積極的に参加していたパルサー
そんなパルサーはモータースポーツの世界でも活躍を見せていた。とくにラリーフィールドでは初代モデルから積極的に参戦していたのである(こちらも当時のカタログにも記載されるほどだった)。
そんなパルサー=ラリーのイメージを決定づけたのが、1990年に登場した4代目モデルに設定された「GTI-R」であろう。コンパクトな3ドアハッチバックのボディにSR20DET型の2Lターボエンジンを押し込み、アテーサと名付けられた4WDシステムを組み合わせている。ラリーで勝つために生まれた、三菱ランサーエボリューションやスバル・インプレッサWRX STIにも似た出自を持つモデルだった。
残念ながら実際のラリーでは狭いエンジンベイに押し込まれた高出力エンジン故に冷却性能が追いつかなかったり、純正の14インチホイールに合わせたブレーキシステムが容量不足であったりと思うような活躍はできなかった。だが、その印象はいまだに鮮烈に残っているという人も少なくないだろう。
即ラリーに出場できる中身
そんなパルサーGTI-Rには「NISMO」の名前を冠したモデルも存在していた。といっても現在の日産車にラインアップされるNISMOロードカーシリーズとは異なり、エンジンなどはベース車と同じ出力のままとなっていた。
そのため車両本体価格はおよそ330万円。ベース車と比べて100万円ほどアップしていたのだが、即ラリーに参戦可能な装備をもっているモデルと考えれば決して高いものではなかったと言えるだろう。
過去には“ラリーの日産”と呼ばれるほどラリーフィールドで活躍していた日産だけに、ふたたびラリーフィールドで活躍するような車両が登場することも期待したいところだが、果たして……?