アウトドアや車中泊で機能を発揮してくれる
ミニバンでアウトドアやキャンプ、車中泊を楽しむ人にとって、3列目席は畳んでラゲッジルームを拡大して使うのはほぼ常識。そんな大容量ワゴンとしての積載力は、ズバリ、さまざまなカタチの“乗用車”の中で最強と言える。
大型SUVやワゴンでも、全高や室内高からすれば敵わない。ならば、めったに使うことのないミニバンの3列目席は最初からないほうが……ということになる(あくまで多人数乗車ではなく、大容量ワゴンとしての使い方の場合)。 積載能力抜群のボックス型ミニバンの場合、トヨタ、日産の3列目席は左右跳ね上げ式。ラゲッジスペース上部の左右幅が制限されるから、畳めばすべて解決するわけではない。
一方、ホンダ・ステップワゴンは唯一、3列目席床下収納式で、3列目席を畳んでもラゲッジスペースの容量は不変。ただし、意外に便利な床下収納スペースが取れないデメリットがある。
やはり最初から3列目席のない、2列目席背後に広大なラゲッジスペースを持つ2列シートミニバンが、アウトドア派にとっては理想的なのだ。じつは、そんな要望に応えてくれるアウトドアやキャンプ、車中泊にぴったりで、圧倒的積載能力を発揮してくれるミニバンがある。
トヨタ ノア・ヴォクシー
まずは2001年に初代が登場したトヨタのボックス型ミニバンのノア・ヴォクシー。両車の1~2代目にはヴォクシートランスX、ノアYYという2列シート、5名乗車の仕様があり、2列目席はダブルフォールディングですっきり畳め、フラットかつ広大なラゲッジスペースが出現。
さらに上下2段に設置できる3分割デッキボードによって、ラゲッジスペース~2列目席部分が完全フラットに。つまり即、車中泊スペースをアレンジでき、荷物はベッドスペースの下にすっきり置けるところも◎。デッキボードには足も付いていて、車内外のテーブルとしても利用できるのだから、もう万歳しかない!!
当時のノア&ヴォクシーは基本的に5ナンバーサイズで扱いやすく、天井にはLEDランプが付いていたり、燃費も15km/L程度はいくから全方位において文句なし。
最初からキャンピング仕様のようなミニバンだったヴォクシートランスX、ノアYYの2列目席をフラットに畳み、デッキボードを使ったときのスペースは、フロア奥行き1740mm(1列目席背後までなら2000mm)、車内で過ごす際に重要な天井高は945mm(ボードロアから)。
その際にいわゆる床下収納になる下段の高さは335mm。奥行きも1200mm以上あるほどだから使いやすい。当時はディーラーオプションとしてエアーマットなども用意されていた。
そんなノア、ヴォクシーの2列シート仕様は2代目までだが、現在、中古車はかなり希少で数も少ないものの、比較的新しい2013年式でもコミコミ100万円以下で手に入るかもしれない。
日産NV200バネット
純然たる乗用ミニバンではなく、こうした選択で意外に見落としがちな1台が、日産NV200バネットだ。2列シートと3列シートを用意し、その2列シートモデルはまさにアウトドアやキャンプ、車中泊にうってつけ。
クラスNO.1の荷室の高さと幅、フロアの低さを誇り、ラゲッジスペースの開口部地上高は520mm。荷室長は最大1900mm、フロア長でも1581mm、幅1220~1500mm、天井高1315mmもあるのだから大容量だ。
もちろんリヤスライドドアだから、バックドア側だけでなく、スライドドア側からも荷物の出し入れが可能。基本は働くクルマだけに、荷物の積載をより便利に安全にするようなアクセサリーも充実。望めばミニバン風ボディにして2列シート仕様もある(商用車そのものだが)。
日本市場での発売は2009年からで、現在の新車価格は200~280万円程度だが、中古車なら100万円以下からあり、100万円台後半で新古車も探せるかもしれない。快適性や乗り心地より荷物の積載力命!! で選ぶなら、悪くない。キャンピングカーのベース車としても重宝されている1台だ。