キャンプの第一歩でつまずかない簡単な「火起こし」テクニック教えます!
キャンプを始めたとき、誰もが直面するのが「火起こしできない問題」。この難関を突破できずにキャンプが嫌いになってしまう人も多く、キャンパーにとって火を起こすことは大きな壁になっているのです。そこで今回は、キャンプで困らない簡単にできる火起こしについて考えてみたいと思います。
あえて苦労を楽しむキャンプの醍醐味が「火起こし」にあり
最近のキャンプは道具が進化したこともあり、とても快適になっています。組み立てが簡単なテント、耐水性に優れたタープ、寝心地の良いコット、コンパクトに収納できる焚き火台、高輝度のLEDランタン、焦げ付かない調理器具、軽量で座り心地の良いホールディングチェアなどなど。それに加えて家電製品が使える大容量のポータブル電源が登場したことで、キャンプの近代化が一気に加速しました。
ひと昔前までは自然と対峙し、シンプルなスタイルが当たり前だったキャンプですが、近ごろはグランピングと呼ばれる華やかなスタイルが生まれたことで、数多くのキャンパーたちを生み出したのです。一方「文明の利器を使うことなく、自分の力で火を起こすことがキャンパーの証」という概念が根強く残っているのも事実。雑誌やYouTubeなどのキャンプ企画でも、快適なキャンプ道具を紹介する裏で、昔ながらの火起こしを紹介し「これぞキャンプの醍醐味」のような特集が組まれています。
薪をナイフで削って作るフェザーステック、ファイヤースターターを使う原始的な着火方法、枯葉やマツボックリを探しての火起こし……。面倒で手間の掛かる方法をクリアすることこそがキャンプ上級者であるかのような記事や動画も少なくありません。もちろん、キャンプは自由を楽しむものですから、焚き火に命を燃やし、クラシカルな方法で火起こしを楽しむのも素敵なことだと思います。しかし、それを「キャンプの基本」と人に押し付けるのは正解ではありません。近代キャンプでは文明の利器を使って火起こしをすることは恥ずかしいことではなく、むしろスタンダードな行為になるはずです。
キャンプだからと古典的な火起こしにこだわる必要はなし
自分の手で小さな火種を作って焚き火を楽しむ満足感は大きなものですが、そこに価値を求めない人も数多く存在します。個人的な話になりますが、私自身もキャンプを始めたころは色々な方法で火起こしを試しましたが、今ではガスライターと着火剤を使って手早く火を起こしています。着火剤を忘れたときにはガストーチで薪や炭に火を付けることもあり、時間を掛けて火を起こすよりも手早く焚き火を作るようになりました。
キャンプ仲間から「味けねーな」と言われることもありますが、私としては火起こしに時間を掛けるよりも手早く着火させて料理に時間を掛ける方が楽しいと感じています。キャンプは自分が楽しければそれが正解。火起こしを楽しみたい人は徹底的にこだわれば良いのであって、火起こしができないからといってキャンプを諦める必要はありません。文明の利器をフルに活用して焚火やBBQを楽しみましょう。
薪のくべ方や火力を調整することで最高のBBQが楽しめる
しかし、火起こしと効率的な焚き火はまた別モノ。焚き火を効率良く行うためには薪の組み方や火の広げ方が重要になることを知っておいても損はありません。ここでは効率的な焚き火とBBQの方法を紹介するので参考にしてもらえれば嬉しい限りです。
まず、着火剤を使って火を起こす場合、よく見かけるのが太い薪をそのまま乗せている人。これは燃焼効率が悪く火が広がるまでに時間が掛かってしまいます。着火剤を使う場合には、細い薪から始めて次第に太い薪をくべるようにすると、効率的に薪を燃やすことができます。薪を置く場合には横に広げるのではなく、薪を立てて組むことで「煙突効果」が期待でき、より簡単に薪を燃やすことができます。
焚き火台が大きい場合には、井桁状に組むのもオススメ。中心部分を開けておくことで、熱せられた空気は上に上がるという煙突効果が発揮されやすくなり燃焼効率がアップします。もちろん、薪をギュウギュウに詰め込むのは絶対にNG。薪の間に空気の通り道を作ることで効率良く燃焼させましょう。
また、焚き火台を使って調理する場合、気を付けるべきは火の状態です。薪や木炭が燃えている状態での調理は避けましょう。薪(木炭)がしっかりと燃え尽き、炭になることで遠赤外線効果が発揮されます。薪が燃えている状態では表面だけが焦げてしまい、中心部まで熱を入れることはできません。炎が落ち着き炭になるのを待ちましょう。炭を使ってのBBQを楽しむ場合には、温度を調整するために炭の量を区分し、火力が強い片側を焼き用、片側は炭の量を減らすことで焼き過ぎの防止や保温場所として利用できます。
焚き火を楽しむならルールやマナーを守ること!
最後に焚き火の注意点を記しておきます。まず、直火での焚き火が禁止されている場所では、焚き火台やBBQコンロを使用すること。さらに焚き火台の下にはスパッタシートと呼ばれる難燃素材でできたシートを敷いて地面を保護して下さい。焚き火をするときはポリエステルなどの化学繊維でできた服装は避けるのが賢明で、焚き火では火の粉によって穴が空いてしまうことも少なくありません。焚き火をする場合には、穴が空いても後悔しない服装に着替えてから楽しみましょう。もちろん、焚き火を楽しんだあとは灰や燃え残った薪を正しく処理すること。キャンプ場では専用の灰捨て場に持ち込んで処理することがキャンパーの心得です。
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猛暑、酷暑が勢いを弱め、秋の気配を感じる今日このごろ。待ちに待った本格的なキャンプシーズンの到来です。火起こしが苦手でも楽しいキャンプには何の影響もありません。「火起こしこそがキャンパーの基本だ」なんて頭の固い意見は無視して、ライターやガストーチ、着火剤などの文明の利器を上手に利用してキャンプ&焚き火を楽しみましょう。