昭和を彷彿させるレトロなスタイルの三輪タクシー
店舗を持つよりもハードルが低いことから、飲食業界への第一歩として注目を集めている「キッチンカー」。東京都練馬区でキッチンカーのレンタルを行っている会社「鶴金社中(つるきんしゃちゅう)」では、一般的な現行車両はもちろん、ビンテージカーをベースにしたキッチンカーもレンタル可能だ。今回は、タイで活躍する三輪タクシー「トゥクトゥク」をベースにした小さなキッチンカーを紹介!
バイクのような構造ながら普通免許で運転が可能
東京都練馬区でキッチンカーのレンタルを行っている鶴金社中が所有する数多くのレンタルキッチンカーの中から今回紹介するのは、タイで庶民のアシとして大活躍しているレトロな雰囲気の三輪タクシー「トゥクトゥク」をベースとしたキッチンカーだ。
トゥクトゥクの車体はバイクの前半分に、四輪車の後ろ半分をドッキングしたような見た目を持つ。もともと日本で郵政省が配達用に使用していたオート三輪が退役後に大量にタイに輸出されたのがルーツと言われており、なんとなくダイハツ・ミゼットのような面影も感じるフロント周りに親しみを持つ人も多いはずだ。
このトゥクトゥク、日本では側車付き自動二輪車、つまりサイドカー付きオートバイというカテゴリーに分類される。そしてじつは、普通免許を所有していれば運転が可能となっているそうだ。バイクのようなバーハンドル構造で、シートに座ってエンジン部分をまたいで乗る独特の乗車スタイルだが、慣れてしまえば決して運転は難しくない。車体も普通の自動車よりかなりコンパクトで、全長約3.2m、全幅約1.4mと軽自動車よりもひとまわり小さい。狭い都内をスイスイ走ることができるはずだ。
荷台部分に乗せたボックスがキッチン部分
本来トゥクトゥクは、運転席に1人、その後ろに3人座れるシートがあり、屋根に幌がかかる構造。この車両は本来リヤシートが備わるスペースに巨大なボックスを設置し、この中を活用してキッチンカーとしている。キッチンスペースとして設置されたボックスのサイズはおおよそ幅1.2m×長さ1.4mほど。幌の中に収まるギリギリの大きさとなっている。ちなみにこのボックスの天井や壁面には断熱材が入っており、炎天下での営業中も内部が暑くならないよう工夫されているそうだ。
1人が座って作業できる丁度いいサイズ
一般的なキッチンカーと比べるとかなりコンパクトな後部のキッチンスペースだが、中へアクセスするには、車体左側のドアから入る。内部の天井高は1.2m足らず。とても立って作業できる高さではないが、ちょうど中央に回転スツールが設置され、ここに座って作業が行えるよう設計されている。
実際に車体後部にシンクがあり、出入口と反対側に作業台が設置されている。限られたスペースゆえに、オプションの冷蔵庫を設置してしまえばスペースはかなりタイトになる。この車両は複雑な調理作業には不向きだが、簡単な調理品や冷蔵品の販売に最適。なによりキュートなスタイルは広告効果バツグンなのだ。
入口のドアと反対側、車体右側に大きなハッチがあり、これを上に開くと、跳ね上げた部分の裏面がそのままサインボードになる仕組みだ。開口部には引き戸のガラス戸も設けてあり、外側にカウンターも設置可能。これを活用することでカウンター越しに商品の受け渡しなどが行えるという仕組みだ。
ちなみに先ほど紹介した回転スツールに座ることで、カウンター作業も丁度いい位置関係になっているそう。ドリンクの販売など、大掛かりな調理を必要としない業態に向いていそうだ。
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大型のキッチンカーとは異なり、スペースや内部での作業に制約があるのは事実だが、見た目のインパクトはかなり大きい。鶴金社中ではこれまでタイフードの販売やドリンク販売などの業者にレンタル実績があるそうだ。クルマで目立つなら、こんな選択肢も大いにアリだ。