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宅急便の車両がキッチンカーとして再注目! トヨタ「クイックデリバリー」は移動販売車にバッチリの資質を持っていました

看板まで展開したイメージ

レンタルキッチンカーの「鶴金社中」で珍しいモデルを見学

 店舗を持つよりもハードルが低いことから、飲食業界への第一歩として注目を集めている「キッチンカー」。東京都練馬区でキッチンカーのレンタルを行っている会社「鶴金社中(つるきんしゃちゅう)」では、一般的な現行車両はもちろん、ビンテージカーをベースにしたキッチンカーもレンタル可能だ。今回は変わり種として、かつて某宅急便のために開発されたと言われるトヨタ「クイックデリバリー」をベースとしたキッチンカーを紹介しよう。

かつては全国津々浦々で見かけた日本を代表するデリバリーカーがベース

 東京都練馬区でキッチンカーのレンタルを行っている鶴金社中が所有する数多くのレンタルキッチンカーの中から、クラシックカーをべースとした珍しいキッチンカーをいくつか紹介してもらった。今回は、かつてヤマト運輸のためにトヨタが開発し1982年に登場した「クイックデリバリー」をベースとしたキッチンカーを紹介しよう。

 クイックデリバリーはのちに一般にも販売されただけでなく、ヤマト運輸からも大量に払い下げ車が流通しているため、20年以上も前の車両がこうやってキッチンカーとして今でも活躍しているというわけだ。

 ベースとなったのは1999年式のクイックデリバリー100で、3Lディーゼルエンジンと4速ATの仕様。ヤマト運輸の「車内で立ったまま作業ができる車両」との要望で製作されたクイックデリバリーだけに、車内の天井高も1.8m弱あり、まさにキッチンカーのベースとしては最適な一台というわけだ。また全長約4.5m、全幅1.7mと5ナンバーサイズのコンパクトな車体ゆえに、狭い場所でも走行でき、車両の設置場所も選ばないというメリットもある。

キッチンスペースには助手席側ドアからアクセス

 クイックデリバリーは運転席&助手席両側にスライドドアを持つが、ウォークスルーバンゆえにカーゴスペース専用のドアは無いのがほかの車両と異なる部分だ。そのため運転席&助手席とキッチンスペースの間の壁にスライドドアを設けてある。ちなみに助手席は簡単に畳むことができるため、助手席側ドアから、このスライドドアを通じてキッチンスペースにアクセスできる仕組み。もちろんリヤドアからも出入りできるので、これで十分というわけだ。

内部の装備は業態に合わせてカスタマイズできる

 この車両は右側面に上下2分割の開口部を設け、ここがカウンターとなっている。跳ね上げた上半分が日除けになっており、下半分がカウンターテーブルとなる仕組み。このクイックデリバリーがほかのキッチンカーと異なるのは、内部の設備がスケルトン構造となっている点だ。車体前方に水タンクとシンクがある以外は、設備を全て脱着可能にしてあり、業態によって必要な設備を組み合わせる仕組みだ。取材時には冷蔵庫が備わっていたが、これをコンロやフライヤーなどの調理設備に変更することも簡単。鶴金社中ではさまざまな調理器具や厨房機器をレンタルしているので、自分の販売形態に合った厨房を作ることができるのだ。

 ちなみにリヤゲートにはハシゴが装着されており、これを登ると、畳まれた大きな看板が見える。この車両のルーフには折りたたみ式の2.5m×0.9mという大きな看板が備わっている。立ち上げるとちょうどカウンターの上に掲示される仕組み。車体に対してかなり大きく、看板の高さは最高で3.5mにもなるそうなので、広告効果は大きそうだ。キュートなスタイルと背の高い車内、クイックデリバリーはキッチンカーの素質を備えた隠れた名車だったのだ。

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 かつて街中を走り回る配送業務で使われていたクイックデリバリーは、キッチンカーに生まれ変わっても大活躍。コンパクトな車体は日本の道路事情にもぴったりマッチする。どんな場所でも出店できる最適な一台であり、キッチンカーのベース車としての戦闘力は高そうだ。

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