年を追うごとに厳しくなった排出ガス規制に対応した
副燃焼室では着火しやすい濃い燃料を使うが、それは火をつけるだけなので小さな副燃焼室の空気量に対する空燃比であり、全体的なガソリンの消費量自体は少なくできる。そのうえで、その火を主燃焼室へ燃え広がらせる発想だ。これにより、従来に比べガソリン消費量を少なく抑え、排出ガスに含まれる有害物質の浄化基準を達成したのである。
その後、三元触媒と呼ばれる、酸化と還元をひとつの装置で実現できる排出ガス浄化策が編み出され、ホンダもこれを利用し、年を追うごとに厳しくなった排出ガス規制に対応した。
しかし、希薄燃焼という考えは、のちの燃費向上の面で不可欠となり、今日のガソリンエンジンにおいてもCVCCと別の手法ではあるが、筒内への直噴という燃料供給技術を利用して希薄燃焼を行い、燃費を改善しているのである。
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少ない燃料でいかにクルマを走らせるかという考え方は、CVCCでは排出ガス浄化に活用され、現在は燃費向上策として用いられている。原理原則という根本を見逃さず、理想を目指す姿勢が、ホンダを世界の名だたる自動車メーカーに押し上げたのである。