下げ止まっていた中古価格がいま高騰中
つい数年前まで中古車マーケットを賑わせるGT-Rといえば、ハコスカ(PGC10/KPGC10)やケンメリ(KPGC110)および、R32~R34型スカイラインGT-R。現行車種であるR35型日産GT-R(以下、R35)は最下限こそ400万円で下げ止まりでしたが、高年式は順調に値を下げていました。
海外での相次ぐ生産中止と国内新車の
オーダーストップで価格高騰が加速!
その状況が崩れ始めたのは2021年に入ってからで、2021年4月時点の最安値は500万円程度でありましたが、1年後の2022年4月には700万円程度にまで高騰しています。さらに、値下がりを続けていたはずの高年式車両が爆上がりに転じ、とくに2016年7月のマイナーチェンジ以降の後期型は同じ1年間で350万円以上も値上がりし、さらに高騰傾向にあります。
何故ここまで高騰したのでしょうか? その理由はさまざまありますが、まずはヨーロッパやオーストラリアで規制に対応できず、相次ぎ生産終了が発表され、国内でも2021年3月に特別仕様車の「NISMOスペシャルエディション」、同年9月に限定車の「T-spec」が相次いで発表。「R35がそろそろ販売終了する」「これが最後の限定車ではないか!?」との噂がオーナー&ファンを刺激しました。そして、さらに追い打ちをかけたのが2022年4月の「新車受け付けのオーダーストップ」のアナウンスで、「新車が手に入らないなら良質な中古車を!」という流れが加速したというわけです。
相場を押し上げたもうひとつの理由は
円安による低年式車両の海外輸出の増加
もうひとつは昨今の円安による海外輸出の増加です。R35はこれまでに国内で1万4000台強(2022年7月現在)が生産されていますが、大手中古車情報誌の掲載台数はここ数年は200台弱と変わりません。しかも、最近はもっとも販売された2008年式(4800台強)を含む前期型が市場から姿を消しつつあり、半数が2017年モデル以降の後期型となっています。
では、どこに行ったのかといえば、多額の関税が課せられて国内よりも大幅に新車価格の高い国だと予想されます。ちなみに中国、台湾では日本の約1.5~2倍、東南アジアやインドでは2.5~3倍です。となれば円安の影響もあり、価格のこなれた日本の中古R35は非常に魅力的に映ったはずです(この動きはほかのGT-Rも同じです)。
こうして国内市場からR35が流出、そしてタマ数が減れば必然的に相場を押し上げます。このような経緯があってR35の中古車価格は見る見るうちに上がっていったのです。当分の間、この流れは続くと予想され、R35を今すぐ買いたいと考えているなら、即決すべきです。