いわれのないレッテルを貼られるもアウトドア派ユーザーから確固たる信頼性を獲得
1994年に登場したスペースギアは、鼻先を伸ばしたミニバンスタイルを採用しながら、当時大ヒット中だった2代目パジェロのプラットフォームを流用。このためボディの重心が極端に高く、自動車業界からは『走らせると危険なクルマ』などと揶揄されたが、実際はアウトドア指向の強いユーザーから支持されることになった。スーパーセレクト4WDという、当時最先端の4駆システムが搭載されていたのも、スペースギアの魅力のひとつだった。
そして現代的なクルマとして洗練されながらも、デリカのDNAをさらに昇華させたのが、現行型のD:5だ。乗用車的な乗り味、快適性、高い室内ユーティリティ性、大容量の積載性と、強力なライバルがひしめくミニバン市場に、真っ向から勝負を仕掛けていった印象だ。
ミニバンなのにオフロードを得意とする二刀流ぶりで大ブレイク
ただし忘れてならないのは、歴代デリカが培ってきた悪路性能もしっかり確保したということ。ベースはパジェロから本格SUVの「アウトランダー」になり、四輪独立式サスペンションや前輪駆動ベースの電子制御式式4WDが採用されたが、大径タイヤ(225/55R18)の装着で最低地上高や対地アングルは通常のミニバンではありえない数値に。また4WDシステムも2WDや4WDロックモードを備えるなど、まさにその走りはSUVそのものだ。
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本格的なミニバンでありながらオフロードでも頼りになる、いわば二刀流。大リーグの大谷選手がそうであるように、これでデリカ人気が盛り上がらないはずがない。ユーザーの間では盛んにカスタムも行われ、その魅力も高めている。普通のミニバンならローダウン/エアロパーツ/大口径ホイールとなるところだが、リフトアップ/ガードバー/オフロードタイヤとなるところがデリカらしさ。
またSNSでつながったユーザー同士のオフラインミーティングも毎週のようにどこかで行われている。クルマの機動性や機能性が広がり、アウトドアやドライブのメニューも充実。なにより人とのつながりも広げてくれる希有なクルマでもある。オーナーたちは異口同音にデリカD:5を「人生の楽しさを広げてくれるクルマ」と評するが、まさに的を射たデリカD:5への褒め言葉と言えそうだ。