コンディション波浪、熱き海上バトルの幕が切って落とされた!
本戦の日曜日は朝から晴天、気温はうなぎのぼりの真夏日。お昼前には気温33度、南西風6m、海域はチョッピーな波に風波が重なりフラットな平水域とはならない。コンデション波浪。
午前11時のFORMULA‐550レースが1周1.8kmのサーキットコース15周で行われた。参加12艇、コンディションイエローで13週に短縮。KEレーシングの後藤翔太選手が優勝した。
午後1時にはメインレースのオープンクラス1時間耐久レースが始まる。観覧艇には乗らず、陸上からの観戦。離れてはいるがその迫力はエンジン音と白い波頭の飾波が舞いあがり興奮を伝えてくる。
V850/1艇、V3000/6艇、OFF-4/2艇、OFF-2/7艇、OFF-OPEN/3艇の19艇が混走、中でもずば抜けて速い艇がいる。KEレーシングのゼッケン1、スロットルマンWillam Moore、ドライバー飯塚詩博。カタマランMTI40。コーナーリングを終えての爆発的な立ち上がり速度、コース上は他艇が巻き起こした波に自然の波が重なる。その中でラインを選び走りこむ。
ボートのステアリングはドライバーが担い、重要なのはスロットルを預かるスロットルマンだ。エンジンのトルク、パワーを駆動に伝える繊細な作業である。クルマは足でアクセルとブレーキ、手はステアリングとシフトに。ボートは手でステアリングとスロットルを管理する。当然、アクセルワークの繊細さが勝敗を左右する。ボートレースではステアリング担当とスロットル担当の2人の共同作業だ。
そしてじつは、スロットルマンがドライバーより重要なのだ。「あのボートのスロットマンは誰だ?」の世界が展開する。KEレーシングゼッケン1。スペックを見る。エンジンはスターリング8.2L×2、16400cc MAX6800rpm、800Hp。ドライブMCM6型ドライサンプ。トップスピード142マイル(約230km)、この日レースコンデション波浪で118マイル(約190km)。見ていてもわかる猛烈な速度。
スロットルマンWillam Moore氏は、今年の全米スーパーキャットクラスシリーズ第1戦1位、2戦2位、3戦3位と、素晴らしい実力者である。ぶっちぎりのトップランを続け、このまま優勝と思われたが、残り15分、突然第2コーナーを回った先でスローダウン、止まってしまった。これこそドラマ。リタイア理由はステアリングトラブルとのことであった。
総合優勝艇は、OFF2リキレーシングチ―ム1ゼッケン32。27フィート(9mVハル)、エンジンはカスタムV-8レーシング仕様。500cubic 600hp+、MAX5500rpm、ドライブMCM5型、トップスピード90マイル(約145km/h)。
2位はアサヒレーシングゼッケン69、3位は東海マリンクラブゼッケン5。ホンダ船外機マルチ搭載のチームコルトも善戦していた。
ちなみに、国内でのパワーボートレースでOFF-2クラスが総合優勝したのは初めてのこと。運輸大臣杯が手渡された。
まだまだ知られないBOAT RACE JAPAN GRANDPRIX、熱い戦いに興奮冷めやらない。2022年夏の東京湾がマイアミになった1日であった。