ETCやナビのない時代のカーアクセサリー
1980年~1990年代にかけて、当時の若者たちはクルマに夢中になっていた。18歳になったら普通免許を取得し、愛車を手に入れたらカー用品店に足しげく通ってカーアクセサリーを物色。面白いアイテムがあったら即購入、友達に自慢したという人もきっと多いことだろう。
AMW読者にとっては、クルマと同じくカーアクセサリーに関しても時代を映し出す鏡としてたくさんの思い出があるはずだ。
そこで今回は、青春時代を思わず思い出してしまうような「懐かしのカー用品」をクローズアップしてみようと思う。
コインホルダー
ETCなどなかった時代、クルマの車内には小銭がたくさん用意されていたものだ。思えば我々の青春時代は、高速道路の支払い、自動販売機、公衆電話等、なにかと小銭が必要だった。そんな時代の装備品として、クルマの中にコインホルダーを置くことが流行った。凝った作りの物では、バネを内蔵したプッシュ式のコイン収納ホルダーもあった。
水中花ノブ
マニュアル車が当たり前の時代に流行ったのが水中花ノブだ。もともとは1970年~1980年代初頭の「デコトラブーム」とともに普通車にも派生した経緯がある。近年、昭和レトロブームとともに復活し、再販品も続々とリリースされている。
このシフトノブは、発売当初「アクリルノブ」と呼ばれていた。その元祖は埼玉県の「星光産業株式会社」が作ったシフトノブであるといわれている。
透明なアクリル製の中に花を入れたことから、水中花ノブと言われるようになった。メジャーどころは「花」なのだが、発売当初は舞妓さん人形や釣り用の毛バリモデルなども登場していた。ちなみに、この舞妓さん人形や毛バリモデルは販売期間がとても短かったため、現在、当時物を求めるマニアの間で高値で取引されている。
アーム式の灰皿
昭和世代の男性は、タバコを吸うことはあたり前だった。となれば、クルマの中で使いやすい灰皿が必要になる。当時、よくタバコを落としてシートを焦がした経験を持つオーナーも多いはずだ。
また、純正の灰皿はとても小さかったためすぐに一杯になり、吸い殻に引火して灰皿からモクモクと煙があがりはじめた体験をした人も少ないだろう。
こうした理由から、大容量のアーム式の灰皿が大ヒット。ハイソカーからトラック乗りまで、みんながこの灰皿を装着していた。また、同形状のイルミネーション付き灰皿はレアで、今も探している人が多い。
車載テレビ
現在では考えられないが、ひと昔前までは、小さなテレビを車内に装着して喜んでいたものだ。2.6型液晶、3.3型液晶TVが主流で、それ以外にも6型ブラウン管テレビというものもあった。
1980年代後半になるとVHSビデオが一般家庭に普及。すると、テレビとビデオを合体させた車載用テレビデオも登場した。記憶が正しければ、確か8型ブラウン管モデルだったと思う。
金のなる木
縁起物をクルマに置くことが1980年代に流行った。なかでも印象的で記憶に残っているのは「金のなる木」だ。当時は一家に1個……というのは大げさかもしれないが、それくらいのヒット商品だった。
この「金のなる木」をクルマのインテリアにすれば「目立つし、綺麗だし、言う事なしでしょ!!」と、そんなノリでこぞってリヤトレイに乗せて走るのが、ハイソカーの定番となっていた。
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昭和時代に流行した車内のカーアクセサリーの数々、いかがだっただろうか? いま見るとどうしてこのようなアクセサリーに夢中になったのか分からないようなものもあるが、必要に迫られて製品化されたものも多い。いまでは普通に見かけるマグネットで固定するスマホ・ホルダーなども、30年後には「ナニコレ」的な存在になっているのかもしれない。