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7億円オーバーも即完売! ブガッティのラストエンジン搭載モデル「W16ミストラル」とは?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bugatti Automobiles S.A.S.

100年以上使われることを想定

 比類ないエレガンスを実現するために、W16ミストラルでは最新のエンジニアリングも採用。先進的な複合素材に、最先端のチタンとアルミニウムの3Dプリントを組み合わせ、印象的なデザインに究極のパフォーマンス、堅牢な信頼性を実現したという。

 インテリアは、シロンからヒントを得て、エレガントでラグジュアリーでありながら、420km/hでもすべての情報が容易に確認できるようにするべく、慎重に磨き上げられたものとのこと。

 先進の軽量チタン、無垢のブロックから削り出されるアルミニウム部品など、素材の品質へのこだわりはブガッティ・デザインの特徴であり続けているのだが、このW16の「スワンソング」には、まったく新しいデザイン的な魅力も含まれているようだ。

 新デザインのドアパネルに使用されている複雑な織りのレザーは、ブガッティの品質基準に従って入念にテストされ、100年以上先にも使用されること想定して製造されている。また、W16ミストラルの輝かしい先達に敬意を表し、アルミニウムの固まりから削り出されたギヤシフターにはウッドタッチが施され、エットレの弟レンブラント・ブガッティの有名な彫刻「踊る象」をかたどったアンバー製のインサートが装着されている。

 ブガッティ最後のロードスター「ヴェイロン16.4グランスポール ヴィテッセ」が2013年に254.04mph(408.84km/h)の世界速度記録を達成したとき、その8LクワッドターボW16は1200psを発揮していた。いっぽうW16ミストラルのエンジンは1600psで、2019年に「シロン スーパースポーツ300+」に304.773mph(490.484km/h)という世界最高速度をもたらしたものと同じスペック。そこには、もう一度世界最速のロードスターになるという目標が込められているのは、明白なことであろう。

 マテ・リマックCEOは、次のように述べている。

「ロードスター様式と我々のW16パワートレインの結合は、絶対的な完成度を誇ります。ルーフを取り外し、頭の真後ろにあるふたつの大きなエアインテークから毎分約7万リットルの空気をエンジンに送り込み、フル稼働させるW16ミストラルを運転することによって、これまでのブガッティにはない革命的パワートレインの複雑なムーブメントに触れられるのです」

 そしてリマックCEOは、次のようにコメントを残した。

「W16ミストラルには、ブガッティ創業当時から続く、デザイン、性能、希少性において比類なきブガッティロードスターのレガシーが受け継がれています。
 タイプ40、タイプ41ロワイヤル、タイプ55ロードスター、このクルマのインスピレーションとなったタイプ57ロードスター・グランレイド、あるいはタイプ57SCコルシカ・ロードスターの驚くべきエレガンスなど、ブガッティはつねにオープントップドライブの純粋さを連想させてきました。W16ミストラルによってW16のレガシーが終わったとしても、我々はエットレ・ブガッティが1世紀以上前に初めて確立したロードスターのレガシーを継承しているのです」

* * *

 W16ミストラルは99台のみ製造され、価格は正味500万ユーロ(邦貨換算約7億1600万円)。納車は2024年から開始される予定ながら、その全生産台数分は、すでに完売しているとのことである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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